iPhone SEは予想を上回る売れ行きにーーAppleの博打は大当たりも、長引く不況は要警戒
COVID-19が需要に与える影響を注視
『CNBC』は「iPhone SEの好評ぶりは、消費者が低価格のスマホに引き付けられていることを示唆し、Appleの事業や部品サプライヤーに影響を与える」というTF International Securitiesの著名アナリスト、ミンチー・クオ氏のコメントを伝えている(参考:https://www.cnbc.com/2020/04/21/kuo-iphone-se-sales-better-than-expected-but-iphone-shipments-down.html)。
クオ氏によると、AppleのiPhone SEの販売は予想を上回っているが、新型コロナウイルスのパンデミックの影響を考慮し、iPhone全体の出荷予測は、2020年第2四半期に前年比20〜25%減少するとの見方を示しているうえ、さらに下振れするリスクもあるという。
クオ氏は「Appleや投資家は、新製品をローンチするAppleの能力ではなく、COVID-19が消費者の需要に与える影響に焦点を当てるべきだ」と主張し、そのうえで「スマートフォンブランドの直面するCOVID-19関連の最も困難な課題は、パンデミックによる消費者の信頼や購買力へのマイナス影響であり、その結果、消費者は低価格・低スペックのモデルを選択するか、スマホ購入そのものを取り止めるようになります」とコメントを寄せた。
同氏の意見は、今後長期化する可能性のある不況を踏まえ、かなり慎重な見解だ。
そして、iPhone SEの販売状況は、景気が悪化して、低価格のスマホが好まれる可能性を示している。それと同時に、今まで欲しくても“高嶺の花”とあきらめていた層が、iPhoneに一気になだれ込んできた、という側面もあるかもしれない。
■Nagata Tombo
ライターであると同時にIT、エンタメ、クリエーティヴ系業界にも出入りする。水面下に潜んでいたかと思うと、大空をふわふわと飛びまわり、千里眼で世の中を俯瞰する。