iPhone 12の生産が1ヶ月遅れる? 市場関係者はAppleのサービス部門に注目

 新しいiPad ProとiPhone SE 2020をリリースして改めて存在感を示したAppleだが、iPhone 12(仮称)に関しては多少雲行きが怪しくなってきた。今年の新型iPhoneの販売スケジュールは、例年通りにならないようなのだ。

例年のスケジュールは無理?

 CNETは27日、iPhone 12シリーズの生産が1ヶ月遅れることを報じた。生産に遅延が生じる理由は、もちろん新型コロナウイルス流行による影響だ。この影響は、Appleのサプライチェーンの要諦となっている中国の生産拠点の稼働率低下、さらには世界的な需要の低下として現れている。

 1ヶ月の生産遅延が生じることから、iPhone 12シリーズは「9月初旬発表、9月中に発売」という例年の販売スケジュールを踏襲できないと見られている。おそらく発表は例年通り9月に行われるであろうが、発売が10月以降になると予想される。

 iPhone 12シリーズを含むApple製品の研究開発は、リモートワークに切り替えた同社従業員によって進められている。こうしたなかCNETのほかの記事によると、同社のティム・クックCEOは4月16日、全社規模のバーチャル会議を開催し、新型コロナウイルス流行に関する談話を発表した。同CEOは、新型コロナウイルス流行下にあっても同社の財政状況は健全であり、120億ドル(約1兆2,800億円)のキャッシュを保有していることを強調した。この手元資金の一部は、現在休業中のApple Storeのスタッフの給与支払いに充てられる、とも述べた。さらに、研究開発への投資継続を約束した。

 クックCEOの談話にもとづけば、Apple製品の販売スケジュールに遅延が生じたとしても、同社製品の開発がキャンセルされる可能性は低い、と言えるだろう。

頼みの綱はサービス部門

 iPhone 12シリーズの生産遅延の報道に対する市場の反応は、US版Yahoo financeが28日に報じている。その報道によれば、生産遅延の報道があっても、Apple株売却の動きはあまり見られない、とのこと。確かに同社の株価は、新型コロナウイルス流行の影響により、2020年初より4%下落している。この下落は、年初より株価がともに30%上昇したAmazonやNetflixのような「新型コロナ勝ち組」とは対照的である。しかしながら、多くの市場関係者は、Appleの株価に関して動じない姿勢を貫いている。

 市場関係者が動じない理由は、iPhone 12の販売が2020年の年末商戦に間に合うことを半ば確信しているからだ。そして、2020年の末には世界経済は回復して、需要が戻ってくると見ている。さらに、今やAppleにはApple Musicをはじめとするサービス部門がある。サービス部門があるので、厳しい時期を持ち堪えられるはずなのである。

 新型コロナウイルス流行下におけるAppleの財政状況は、今週木曜日に予定されている同社の2020年第1四半期決算の発表で明らかになる。この決算の見通しについて、投資情報メディア『Seeking Alpha』は27日に記事を公開した。2020年第1四半期における同社の売上は約547億ドル(約5兆8,000億円)前後と見られており、前年同四半期より約6%減少となる。売上減少が予想されるなか、投資家たちは同社のサービス部門の動向に注目している。というのも、世界的に外出禁止あるいは自粛のムードが広がっている現状では、サービス部門はむしろ成長するかも知れないからだ。

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