恋愛リアリティーショーが面白いのは日本だけじゃない? 各国の番組にみる恋愛事情の違い

世界の恋リア番組にみる“国ごとの恋愛感”

『ラブ・イズ・ブラインド』から見る内面の結びつきの重要さ

 アメリカの恋愛リアリティショー『ラブ・イズ・ブラインド ~外見なんて関係ない?!~』は、アジアとは異なる視点で展開する。独身の男女がそれぞれ“ポッド”と呼ばれる小部屋に入り、壁を隔てて互いの声だけを頼りに宗教、人種、結婚観、子供の有無などについて話し合い、外見ではなく内面の結びつきを求めて顔も知らぬままカップル成立まで進む。

 初対面を果たした後はバカンスや互いの両親との面会などを経て結婚式を挙げることがゴールとなる本作は、出会いから結婚まで全てのステップを追うという面でもアジアの恋愛リアリティショーとは大きく異なる。参加者の恋愛を丸ごと追いかけるというスケールの大きさが何と言ってもアメリカらしさだろう。さらに多種多様な人種、宗教、価値観を持つ人々と共に暮らす中で、「内面での結びつきを重視したい」という切り口はより強固な意味を持つ。

 日本人にとっては、人種差別や宗教における考え方の相違によって、恋愛さえも困難になることはなかなか想像しにくいだろう。多様性を広げた上で、様々なしがらみから解放され、よりパーソナルな部分にフォーカスしてパートナーを選びたいという欲求は、こうした多民族国家ならではの背景が関係していると感じる。

 このように恋愛リアリティショーは、ただ単一的に恋愛を定点観測しているわけではなく、それぞれの国が持つバックボーンを反映しながら、恋愛を楽しむという性質を持っている。そんな中、やはり独自の過激さを内包して視聴者の興味や関心を得ているのは明白だ。『さよならプロポーズ シーズン2』ではその過激さは、「結婚」という目的に対して立ちはだかる“経済的困窮”や“出産”など現実的でシビアな問題として描かれる。『HEART SIGNAL3』では参加者の恋愛を予想団が予想するだけではなく、そこにゲーム性があることだろう。『ラブ・イズ・ブラインド ~外見なんて関係ない?!~』では、宗教、人種を超えた「内面のつながり」というテーマ自体がかなり最先端の考えであり、ある種の過激さを孕んでいると感じる。

 こうしたセンセーショナルなテーマを切り口に、恋愛リアリティショーは時に最大のエンターテインメントを、時に重要な問題提起をしながら我々視聴者を楽しませてくれている。一緒にドキドキしたり、一喜一憂しながら、「恋愛」と「人生」について考えるきっかけを与えてくれているのだ。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる