ゲームは新型コロナに対抗する存在へ 広がり続ける大手ゲーム企業ならではの支援策

広がる大手ゲーム企業のコロナ支援策

 新型コロナウイルス感染拡大は、ゲーム業界にも大きな影響を与え続けている。

 外出自粛・禁止やゲーム企業内の感染者発生によって開発やイベント開催にも遅れが出ており、事態の収束が見えず今後もインパクトは大きくなっていくだろう。インディーゲームにとって生命線でもある『E3』などのゲーム関連イベントも世界中で中止が発表されている。東京都ではゲームセンターが緊急事態措置の休業要請の対象にもなった。中小規模の店舗は存続の危機に陥っており、ゲーム配信で収益を上げたりクラウドファウンディングを行って支援を集めるところも出てきた。

 そんな中、支援する側に立つゲーム関連企業も出始めている。

 イギリスのDCMS(デジタル・文化・メディア・スポーツ省)は「キャンディークラッシュ」のKingを始めCodemasters、Rebellionの3社と「Stay At Home, Save Lives(家にいよう、命を救おう)」というスローガンを共同で広めることを発表した。世界保健機関(WHO)のアンバサダーであるRay Chambers氏は自宅でゲームをして人同士の接触を避けることを促進するキャンペーン「#PlayApartToghther」を推奨すると呼びかけた。このように自宅で過ごす方法としてゲームを推奨する動きは多く、ゲームとは新型コロナへ対抗するものである、という象徴になりつつあり支援策を打ち出す企業が増えたと考えられる。

 支援方法として多いのは基金や寄付だが、その方法は様々だ。

 ロックスター・ゲームスは「GTAオンライン」と「レッドデッドオンライン」のゲーム内購入額の5%を新型コロナウイルスの救援活動に寄付すると発表。ソニーはグループ全体ではあるが総額約108億円の支援ファンド「新型コロナウイルス・ソニーグローバル支援基金」の設立を発表した。購入や課金収益を寄付に充てるゲームは多く、スクウェア・エニックスとEidos-Montrealの「デウスエクス」は収益と同額をカナダのケベック州のフードバンクへ寄付、Paradox InteractiveはWHO運営のCOVID-19連帯対応基金に収益を寄付するセールをSteam上で行った。

 さらに一歩踏み込んだ対策を打ち出したのが「Plague Inc. 」と「Plague Inc: Evolved」の開発を手がけたNdemic Creationsだ。COVID-19連帯対応基金に25万ドルの寄付を行った上、「Plague Inc.」の大型アップデートを発表した。「Plague Inc.」は2012年に発売したタイトルで、元々ウイルス開発を通してパンデミックを発生させプレイヤーが人類滅亡を目指すシミュレーションゲーム。それが大型アップデートではプレイヤーはウイルスから人類を守る側になり、トリアージや社会的距離といった新型コロナウイルスでよく耳にする方法を駆使する新モードが実装される。しかもWHOの専門家派遣システムを通じた監修も行い、実世界にも通ずるゲームとなる予定だ。

 「ヴァンガード」を展開するブシロードの支援は立体的だ。アプリゲーム「ヴァンガード ZERO」の売り上げの20%を、トレーディングカードゲーム「カードファイトⅡ ヴァンガード」公認取り扱い店400店舗に対し分配する。カードゲームショップの新型コロナウイルス影響は大きく、売り上げを分配することで業界全体を守る狙いだ。ブシロードは同時に、ビデオチャットでトレーディングカードゲームを遊べる「ブシロードリモートファイト」の提供も発表しており、関連企業もユーザーも全方位でサポートする姿勢だ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる