『mora qualitas』

本間昭光が考える、ハイレゾストリーミング時代のリスニングスタイル「僕らとしては身が引き締まる」

本間が語る「いきものがかりの新曲に込めた“ウォール・オブ・サウンド”」

ーー本間さんご自身が手掛けた楽曲を、ハイレゾで聴いた感想は?

本間:いきものがかりの新曲「STAR LIGHT JOURNEY」を聴いてみました。この曲は、フィル・スペクターの「ウォール・オブ・サウンド」を目指そうという話になって。音の洪水をどう整理するかがテーマだったんですね。大編成のストリングス・セクションを入れ、アコギやピアノもたくさん重ねています。さらにアナログ・シンセも入れて、トラック数でいったらすごいことになっていたんですよ。でも、周波数帯域のすみ分けをしっかりやることで、各楽器のマスキングを防ぎ、(吉岡)聖恵ちゃんのボーカルも埋もれないようにしています。それと、スネアの音色は80年代っぽくしたかったので、その話をドラマーの方に話したところアン・ルイスさんの「六本木心中」のレコーディングで使ったスネアを持ってきてもらいました(笑)。見事に80年代サウンドになりましたね。

ーーそうしたこだわりは、ハイレゾではどのくらい再現されていましたか?

本間:やっぱり、ボーカルにかかったリバーブがしっかり聴こえていますね。特にサビの部分は音がたくさん詰まっているんですけど、そんな中でもちゃんとリバーブが「見える」のはすごいなと。それは、96kHzで録ったサウンドをハイレゾではそのまま聴けるからだと思うんですよね。

ーーちなみに、スマホ用のLightningケーブルにヘッドホンを接続しての試聴はいかがでしたか?

本間:やはり、パソコンからヘッドホンアンプ経由で試聴した時と比べると、若干「詰まり」を感じるというか、奥行き感や広がり感は少なくなりますけど、それでも充分高音質だと思いました。ただ、これは余談ですが今回ハイレゾをスタジオのモニタースピーカー、家のJBLスピーカー、ヘッドホンとイヤホン、それからスマホのスピーカーと、様々なリスニング環境で聴き比べてみたのですが、最も違いを感じたのはスマホのスピーカーで鳴らした時だったんですよね。スマホのスピーカーでも音質の違いがはっきり分かるのには驚きましたね。さすがハイレゾだなと。

ーー今後、「mora qualitas」にはどんなことを期待しますか?

本間:例えばポルノグラフィティは、僕がプロデュースしていた時代にはミックスのときにアナログのハーフを回していたんです。その段階で周波数帯域の上下が伸びる。でも、それってCDやMP3では再生しきれないわけです。なので、それを見越してマスタリングをしていると思うんですよね。ハイとローの部分をカットしたマスターテープからCDを作っていた。おそらく、ハイレゾもそのマスターテープから作っていると思うんですけど、願わくばアナログハーフに落とした2ミックスからハイレゾ用の音源を出して欲しい。そうすればアナログマスターが主流だった時代の音源もスタジオのモニターで聴いていたのと同じ音をハイレゾでも楽しめるわけですから。おそらく各メーカーの倉庫には、いろんなアーティストのアナログマスターが残っていると思うので、劣化しないうちに是非ともカタログ~アーカイブ化して欲しいです(笑)。

■サービス概要
『mora qualitas』
配信形態:月額・定額制ストリーミング配信
価格:1,980円(税抜)
配信型式:Lossless ストリーミング
音質:24bit/44.1~96kHz(ハイレゾ)、16bit/44.1kHz(CD音質)
ファイルフォーマット:FLAC
デバイス:PC(Windows、Mac)、モバイル(Android, iOS)
再生:通常の再生に加え、ギャップレス再生、排他モード(Windows, Mac)にも対応。モバイル環境においてもビットパーフェクト再生(iOS)に対応。
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