チュートリアル徳井義実、『テラスハウス』スタジオ復帰か? “バランサー”としての活躍を振り返る

YOUや山里亮太との相乗効果

 さすがはTVバラエティで活躍してきた男としか言いようがないが、徳井さんは他の出演者との相乗効果により、エンターテインメントをさらに高みに押し上げる天才だ。『テラハ』では、とりわけYOUさんと山ちゃんとの会話によって生まれるドライブ感が、ひとつの魅力になっている。

 スタジオパートの“お母さん”ことYOUの場合は、妄想癖の性格が徳井さんとバッチリと噛み合い、ときに想像だにしない世界へと私たちを誘ってくれる。そして山ちゃんとは、言葉のラリーとでも言えるような超ハイレベルのトークの末に、印象深いパワーワードを生み出す。

 たとえば、2016年より配信されたハワイ編『TERRACE HOUSE ALOHA STATE』の大志に付いた「ギルティ侍」という呼称や、前述した東京編で夏美の普段は隠れたもうひとつの側面を的確に言い表した呼び方「冬美」は、実は徳井さん発信で生まれているものだ。しかし、そうした場面の一連の会話の流れを聞いていると、YOUさんと山ちゃんとのトークの相乗効果があってこそ発された言葉でもあるのだとわかる。トークの熟練者たちが集まることで“普通のこと”が“おもしろいこと”に変わる。そうした瞬間を、私たち視聴者は何度も味わってきたのではないだろうか。

“バランサー”としての立ち位置

 「ギルティ侍」が生まれたハワイ編のPART3-4。大志と同じく俳優を志している侑哉が、よく寝坊をして学校に行けていないという話題を聞いて、副音声の山ちゃんは「“起きられなかったらしょうがない”はダメよ」と指摘する。その言葉にハッとしたのか徳井さんは「2週連続遅刻したけどな俺……」と罪深そうにぽろっと言葉を漏らす。

 些細な場面ではあるけれど、このことからも徳井さんは、テラハメンバーの負の側面を見るときも、まずは自分の姿を鑑みて、自身のだらしなさを認めるなどしてから評価する性格だということがわかる。そうした人物が、毒舌的な立ち位置にいる山ちゃんの対局に置かれることによって保たれる『テラハ』のバランス。徳井さんが稀有な“バランサー”であったことは、やはり彼がいなくなったからこそ気づくことができる。暴走しすぎる山ちゃんの暴言や誰も拾うことができないYOUさんのアダルティな言葉たち。その行き場をなくした言葉たちに真の生命が与えられるとき、それは徳井さんが『テラハ』に帰還したということを強く印象づける喜びに満ちた瞬間になるのだろう。

■原航平
1995年生まれ、映画好きのライター。「クイック・ジャパン」などでも執筆。
Twitterブログ

■番組情報
『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』
2019年5月14日よりNetflixにて毎週火曜に新エピソード先行配信(4週に1週休止)
2019年6月11日よりFODにて毎週火曜深夜0時に配信予定(4週に1週休止)
2019年7月よりフジテレビにて、地上波放送予定
(c)フジテレビ/イースト・エンタテインメント

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