ゲーム実況グループ“ナポリの男たち”がYouTubeに進出中 しかし変わらない独特の空気感
昨年12月18日に発売された『冬の大増刊号りぼんスペシャル』に、『どす恋!』という異色すぎる作品が掲載された。「大人気ゲーム実況者集団と夢のコラボ!」と告知されたこの漫画の原作者は、ゲーム実況グループ“ナポリの男たち”で活動する、すぎるだ。YouTubeには、ナポリの男たちのメンバーも声優として参加した漫画動画も投稿されている。
あの『りぼん』に「大人気ゲーム実況者集団」と紹介される「ナポリの男たち」は、これまでniconico(ニコニコ動画)をメインに活動してきた。『どす恋!』の原作が発表された彼らの有料チャンネルも「ニコニコチャンネル」内にあり、現在も毎週土曜日の夜に生配信を行なっている。しかしナポリの男たちはこれまで通りniconicoで活動する傍ら、現在積極的なYouTube進出も行なっている最中だ。
YouTubeにおける“ナポリの男たち”
そもそも「ナポリの男たち」とは、個人でも高い人気を誇るジャック・オ・蘭たん、すぎる、hacchi、shu3の4人から成る実況者グループだ。彼らのこれまでの活動は「米津玄師、岡崎体育もハマるゲーム実況者「ナポリの男たち」って何者?」に詳しいが、最近では4人のメンバーのうち蘭たんとすぎる、shu3の3人がYouTubeチャンネルを開設している。
圧倒的な知識と語彙力を持ち、見ていて疲れない実況に定評がある蘭たんは、自身のYouTubeチャンネルで、ニコニコ動画に投稿してきた過去動画と、完全新作の実況動画を投稿している。特に最近ではカルト的な人気を誇るフリーホラーゲーム『Ib』の実況動画が話題となり、Part1が投稿されてすぐに自身のチャンネルの最多視聴回数を誇る動画となった。このシリーズの見どころは、ホラーゲームが極めて苦手なことで知られる蘭たんのリアクション、そしてゲーム内に登場するキャラクター「ギャリー」との相性だ。
普段は基本的に冷静で、鋭い勘を働かせる蘭たんだが、今作では悲鳴や奇声を上げながらなんとかゲーム進めていく。作品中で仲間になる「ギャリー」というキャラクターは、女性的な口調の男性キャラで、9歳の女の子である主人公「イヴ」の保護者的目線を持つ人気者だ。その口調がつい移ってしまったり、怖さをギャリーの楽しいキャラクターにごまかしてもらおうとするなど、ゲームに没入していく蘭たん。そうしてイヴやギャリーら登場人物とともに実際に探索しているような感覚に陥るこのシリーズは、蘭たんの動画を初めて視聴するYouTubeユーザーにも好意的に受け止められている。
一方、中学生男子のような純粋さとベタなお笑い的感性が入り混じった独特な関西弁実況が持ち味のすぎるは、自身のYouTubeチャンネルで『ドキドキ文芸部!』の実況動画を公開している。
『ドキドキ文芸部!』は知る人ぞ知る“鬱ゲー”のひとつで、最初は恋愛ノベルゲームの体をなしているが、プレイしていくとどんどんと闇が見えてくる……という、かわいらしいビジュアルからは想像がつかないハードな作品だ。
すぎるの実況も最初はどの女の子を選ぼうかとウキウキした様子なのだが、闇が見えてくるにつれて「えー!!」という絶叫が増えてくる。周回要素を持つこのゲームは回を増すごとにさらにハードな内容となっていくため視聴者を選ぶ動画だが、誰も傷つけない言葉選びが得意で、親しみやすくやかましい実況が持ち味のすぎるだからこそ、楽しく見られるという視聴者も多そうだ。すぎるのYouTubeチャンネルはまだ開設されたばかりで投稿本数も少ないが、今後は動画投稿が増加すると予想される。
圧倒的かつ変態的なやりこみプレイに定評があるshu3のYouTubeチャンネルでは、主に自身がニコニコ動画に投稿した過去の実況動画と、ゲームに関する“ざっくり10分解説動画”を投稿している。
shu3の代名詞であるやりこみプレイもさることながら、10分解説にも“らしさ”が滲み出ている。ゲームの内容を単に説明するだけではなく、過去のインタビュー記事を基に制作者の意図まで解説するなど、まさに「ゲーム愛」溢れる語りが魅力の動画だ。ゲーム実況の枠に収まらない、shu3の多才さがこれでもかと伝わってくる。
ナポリの男たちの中で唯一、YouTubeチャンネルを開設していないのがhacchiだ。そもそもニコニコ動画に最新の個人実況動画が投稿されたのが2014年で、その前は2008年の投稿が最後。視聴者からは常に個人実況が待たれている孤高の実況者で、そのためナポリの男たちの動画ではhacchiの個人プレイパートで「待望のhacchi個人実況」と言われることもある。ナポリの男たちがYouTubeに進出するのに伴って再度hacchiの個人実況動画が投稿されるのを(あくまでも気長に)待ちたい。