進む音楽制作の裏方支援 Spotifyが新機能“ソングライターページ”とプレイリストを公開

 今回のページ開設によるソングライター側のメリットは、ページを通してファンに自分が関わった作品を発見してもらいやすくなるだけでなく、レーベルやパブリッシャー、音楽監督、アーティストがソングライターを見つけやすくなるとTechcrunchは指摘している。ソングライターは、そういった発見によるストリーミングロイヤリティだけでなく、次の仕事につながる可能性を得るという恩恵を受けられるようになるかもしれない。

 実際にSpotifyは、昨年、音楽制作マーケットプレイスのSoundBetterを買収しており、今後、SoundBetterを「Spotify for Artists」にダイレクトに取り組む可能性も予想されるだけに、このタイミングで音楽制作を支える裏方であるソングライターフレンドリーな施策を打ち出してもなんら不思議はないのではないだろうか? 

 その点で考えると、”音楽ストリーミングサービス”から”制作から配信まで”をワンストップで関わることを目指す(と思われる)Spotifyにとって、今回の「ソングライターページ」と「Written By」プレイリストは、金銭面でのトラブルやクレジット表示開始初期の信頼性が低いという批判など、これまで少なからずネガティヴなイメージを与えてきた音楽の作り手であるソングライターからの信頼を獲得するための布石に思える。

 実際にSpotifyは、『Spotify — For the Record』で今年1月、ラッパーの21 Savageのグラミー賞ノミネートアルバム『I Am > I Was』の制作の裏側に迫る特集記事も公開。アルバム収録曲のプロデューサーやソングライターとして参加したDJ Dahi、Nija Charles、J Whiteといった3組の裏方にインタビューを行い、Spotifyが彼らのキャリアにどのような影響を与えたかにも迫っている。そのようなことからも、Spotifyが競合他社とは別軸の営業戦略として、音楽制作の裏方支援を次の一手として打ち出しているような印象を受ける。

 果たして今回の新機能は今後、どのようにソングライターに受け入れらていくのだろうか? 今後の動向に注目していきたい。

〈Source〉
https://artists.spotify.com/blog/songwriter-pages
https://spotifyresearch.typeform.com/to/oS0jfp
https://newsroom.spotify.com/2020-01-24/meet-the-behind-the-scenes-talent-behind-21-savages-grammy-nominated-album-i-am-i-was/
https://techcrunch.com/2020/02/12/spotify-is-giving-songwriters-their-own-pages-and-playlists/
画像:https://artists.spotify.com/blog/songwriter-pages

■Jun Fukunaga
音楽、映画を中心にフードや生活雑貨まで幅広く執筆する雑食性フリーランスライター。DJと音楽制作も少々。
Twitter:@LadyCitizen69

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