トパスから感じる“スクールカースト”への異様な執着 『テラスハウス』第28話未公開映像

 トパスからは、“スクールカースト”への異様な執着心を感じる。トパスにとって“スクールカースト”とは、負の思い出であると同時に自分自身を“守る武器”なのではないだろうか。ビビも指摘していたように、「私はかわいそう」ということを言い訳にし、あらゆることから逃げているように思える。誰かを真っ正面から愛して、もし拒絶されてしまった場合、自分のすべてが否定されたような気がして、二度と立ち直れなくなるかもしれない。間違いなく深い傷を負うことは確かだろう。だったら、初めから「俺はスクールカーストが下だったから」「恋心ではなく、1軍への憧れ」と言い訳を用意して、それを自分自身にも周囲にも言い聞かせていれば、もしこの恋がうまくいかなかったとしても、ダメージは最小限に抑えられるはず。周りには「よくよく考えてみたら、やっぱり憧れだった」と弁明できるし、惨めだと思われないですむ。と、どこかで考えているのではないだろうか。

 それが決して悪いことではない。人は弱い。だからこそ、誰しもどこかで必ず逃げ道を用意している。だが、トパスが心配なのは、師匠であるリリー・フランキーが忠告していたように、無意識のうちに「思い残し症候群みたいなものを回収しようとしてる」からだ。俺を4軍に位置付けた学校が悪い、俺を愛さなかったみんなが悪いと他人のせいにして、その過去を取り返すかのように、1軍に恋い焦がれる。どこかで「この子から愛されたら、俺も1軍になれる」と無邪気に信じている感じが、危ういのだ。過去を清算するために、1軍に手を伸ばし、恋愛か憧れかはわからないと言い訳を用意しながら追いかける。たとえ手に入ったとしても、トパスは心から満たされて幸せになれるのだろうか。自分の価値を自分で決められないことほど、苦しいことはない。

 もう一つの28th WEEKの未公開映像“School Caste”で、トパスは「(家族全員がフィリピン人だけど)家では日本語。8歳(小学3年生)のときに来て、日本語も喋れない状態だったからさ。普通の小学校に通ってて、みんなが日本人の中で、自分だけが外人で、全然大丈夫じゃなかった」と自身の過去を振り返っていた。この環境はきっと、想像できないほど、孤独で心細いものだったと思う。幼い頃の悲しい思い出や傷ついた心、辛い経験は、こびりついてなかなか離れてくれない。そして、他人から一方的に植え付けられた自分の価値も。だからこそ、トパスには人一倍スクールカーストの呪縛が強くかかっているのかもしれない。

 今後、愛華との関係がどう進展していくかはわからないが、トパスがテラスハウスで生活していく中で、少しずつ自身の過去から解放されて、“いまの自分”を愛せることを勝手に願ってしまう。

■番組情報
『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』
2019年5月14日よりNetflixにて毎週火曜に新エピソード先行配信(4週に1週休止)
2019年6月11日よりFODにて毎週火曜深夜0時に配信予定(4週に1週休止)
2019年7月よりフジテレビにて、地上波放送予定
(c)フジテレビ/イースト・エンタテインメント

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