「にじさんじ」から『鬼滅の刃』まで、2019年の『ネット流行語100』が発表 最もネットを賑わせたのは?

 今年ネットで流行った単語を選出し表彰する『ネット流行語 100 2019』が12月15日、東京・品川にて開催された。

 『ネット流行語 100 2019』とは、アニメやマンガに関わるワードを解説するWebサイト「ピクシブ百科事典」と「ニコニコ大百科」の、各単語ページのにおける2019年のアクセス総数から、年間で流行った流行語をランキング形式で発表するイベント。

 司会進行を務めたのは、スペシャルプレゼンターの声優・古谷徹と、フリーアナウンサーの森遥香。まずは、2018年度のトップ20を振り返ると、年間ランキングで6位にランクインするなど獅子奮迅の活躍ぶりを見せた『名探偵コナン』シリーズに登場するキャラクター「安室透」が話題にあがった。同キャラクターの声優を務める古谷は、「3つトロフィーいただいちゃったんですよ。帰りはタクシーで帰ったんです」としみじみと振り返った。



 昨年の話題もそこそこに、次は2019年度にランクインした100位から81位までを発表。83位には、推理ゲーム「ウミガメのスープ」がランク入り。その出題サイト「ラテシン」の運営者は「起源も原作者も判明していないこのミステリアスな推理ゲームが、人知れず広がり長年の時を経て、このような場にランクインできたことは大変光栄に存じます」とコメントを寄せた。


 86位には、バーチャルYouTuberグループ「ゲーム部プロジェクト」が入賞し、所属するVTuberの夢咲楓と道明寺晴翔がビデオメッセージで出演。82位にも同じくVTuberの「御伽原江良」がランクインし、会場のモニターに生出演した。感想を尋ねられると、御伽原は「ニコニコという情報の海みたいな場所で、私みたいなただの大学生で、しかも今年デビューというぺーぺーが……ありがとうございます」と感謝を伝えた。

 69位には、「安室透」がランクインした。森が「安室さんって彼女いるの?」と聞くと、古谷が「僕の恋人はこの国さ」と返答。森は「今日はこれを聞くまでにここに来たので、ごちそうさまです」と喜びをあらわにするなど、『名探偵コナン ゼロの執行人』を観たファンにはたまらないやり取りが展開された。

 74位に「トラファルガー・ロー」、77位には「カイドウ」と『週刊少年ジャンプ』で連載中の『ONE PIECE』から2つのワードが入賞した。また、トラファルガー・ローの声優を務める神谷浩史は、古谷の後輩にあたるそう。古谷は「還暦の誕生に赤いパンツをプレゼントしてきましたね。本当に僕のこと好きみたいで、『ずっとついていきます』って口が上手いんだよアイツは本当に」とこぼれ話も飛び出た。

 「東宝Project」は41位にランクインし、同シリーズを製作したZUNからのコメントも読み上げられた。さらには、40位に『けものフレンズ2』から「ごますりクソバード」、36位に「なんでも実況J」がランキングに入った。30位から21位までは、吾峠呼世晴の大ヒットコミック&アニメ『鬼滅の刃』より、6つのワードが入賞。会場に駆けつけた、アニメ『鬼滅の刃』製作プロデューサーを務める高橋祐馬氏は「多くのワードがランクインさせていただいて、アニメの放送で興味を持っていただいたと共に、連載中の漫画の盛り上がりで興味を持っていただいた方も沢山いらっしゃられるので、関係者全員でこのランクインを喜びたいなと思います」と微笑んだ。

 20位には、スマートフォン用ゲーム「Fate/Grand Order」、15位には「夢見りあむ」が選出された。そして、17位には「胡蝶しのぶ」、13位に「十二鬼月」と『鬼滅の刃』から、2つのワードがここにもランクインを果たした。高橋氏はそれぞれ「胡蝶しのぶという女性は中盤以降に登場するキャラクターになります。アニメでは強さや魅力で描けたためかなと思う」「どのキャラクターも個性的で魅力なんですが、19話で描かれた、下弦の伍の累というキャラクターとの戦いがアニメーションとしても非常に良い物を見ていただけた」と魅力を説明した。

 そしてここからは、トップに10の発表へ。その10位には、男性声優によるラッププロジェクト「ヒプノシスマイク」がランクイン。ビデオメッセージでは、作中に登場するキャラクター山田一郎を演じる木村昴が出演し、「本当に新しいことに挑戦させていただきました。来年は1位にランクインしたいです」と伝えた。これに古谷は「彼の番組にゲストで出させていただいて、優しいし先輩たてるしね、本当に礼儀正しくて才能あるな」と絶賛した。

 続く9位には、『鬼滅の刃』から「柱」、8位にも同作から『竈門炭治郎』が入賞。7位には「仮面ライダージオウ」がランクインし、大森敬仁プロデューサーがビデオメッセージで登場した。そして6位には、ゲーム情報サイト「ワザップ!」にユーザーが投稿したコメントが、荒木飛呂彦氏のメディアミックス作品『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズに登場する、ジョルノ・ジョバァーナを彷彿とさせる文体であることから、ネットを中心に話題を集めた「ワザップジョルノ」が選ばれた。


 5位の「けものフレンズ2」では、プロデューサーの沼田心之祐氏がステージに登壇。沼田さんは「アニメを楽しんでもらったのもありがたいんですけど、けものフレンズ3といってゲームであったりとか、動物園とのコラボとか屋形船とコラボして、これだけ広がっていくコンテンツに関わらせていただいてありがたいなと思います」と感謝を口に。4位には『鬼滅の刃』が満を持して登場。同イベントは、ニコニコ動画でも生放送されており、「今日の主役」などのコメントが流れた。



 そしてここからは、トップスリーの公表へ。3位には、電脳少女シロやもこ田めめめらVTuverが所属する「.LIVE」がランクイン。2位は『鬼滅の刃』のキャラクター「我妻善逸」という結果になった。

 年間大賞の発表前には、特別賞に選ばれた2つのワードの授賞式も執り行われた。pixiv賞に「鬼滅の刃」が選出されると、この日合計7回もステージに登場した高橋氏が再び登壇。ニコニコ動画上では、「親の顔より見た」「おかえり」などのコメントで溢れかえり、その人気の高さを伺わせた。受賞の理由についてpixiv編集長の佐久間仁美氏は、「海外からのアクセスが集中したことが決め手となりました。デーモンスレイヤーという言葉で検索してpixivに来る方が多くいらっしゃいました」と解説した。

 特別賞の2つ目、niconico賞には、『ネット流行語 100 2019』の98位にもランクインした「シャミ子が悪いんだよ」が入賞。株式会社ドワンゴの専務取締役を務める栗田穣崇氏は「男性を中心に票が集まりだしまして、原作者の伊藤いづもと、声優の鬼頭明里がネット流行語について言及していたことが決め手になったと思います」と原因を分析した。

 そもそも「シャミ子が悪いんだよ」という言葉は、『まちカドまぞく』という作品に登場するキャラクター・吉田優子が、千代田桃に対して言いそうであるセリフであることから、パンデミック的に拡散されたワード。アニメ及び原作のマンガでそのようなセリフはなく、ただただ言いそうであるという理由だけで広まった。

 これに、原作者の伊藤氏はメッセージで「お電話でniconico賞を頂けるというお話を頂いたときは、正直お受けしようかかなり迷いました。何故なら、ニコニコ動画に詳しい方ならご存知かと思いますが、この言葉は原作とアニメを何度見ても一度たりとも言っていないセリフだからです」と言及。続けて、「ですが、この言葉が生まれた経緯や、どういう風に皆様がこの言葉を楽しんでくださっているかを知って、謹んでお受けすることにしました。(中略)最後に、シャミ子がわる・・・・・・ワールドワイドで羽ばたいてくれることを心から祈っています。」と、晴れて原作者も認めるセリフとなった。


 年間大賞には、アバターを用いてYouTubeなどで動画投稿や配信を行うVTuberグループ「にじさんじ」が輝いた。82位にもランクインした御伽原江良も同グループに所属していることから、再びステージに設置されたモニターに生出演。御伽原江良は、「去年に引き続きランクインさせていただいて光栄です。今年は大賞ということで、待機しながらずっとドキドキしていました。来年も沢山の方に知っていただけるように、活動していきたいです」と展望を口にした。

 2019年は、『鬼滅の刃』から25個のワードがランクイン。今年を代表する作品となった。古谷は「単語をみなさんが検索してランキングして、みなさんが興味を持って作品へ繋がっていきそうなので、影響力ありそうですよね」と話し、同イベントを締めくくった。

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