Facebook、AIが脳波パターン予測し思考を読み取る技術発表 プライバシー保護で疑問の声も
プライバシーの最後のフロンティア
BMI研究をめぐっては、非侵襲的な装置が実現したとしても倫理的な問題がつきまとう。ヒトの脳波を読み取るのは史上もっとも深刻なプライバシー侵害につながるのではないか、という懸念が消えないのだ。テック系メディア『The Verge』が先月31日に公開した記事では、FacebookのBMI研究の成果を報じたうえでその倫理的問題について言及している。その記事では、アメリカのデューク大学で神経倫理を研究するNita Farahany教授の言葉が引用されている。同教授は脳は思想の自由を保障する唯一の安全な場所と述べたうえで、BMI研究は「プライバシーの最後のフロンティアに踏み込もうとしている」と語っている。
『The Verge』の記事は、Facebookが脳波を将来的に広告目的で利用することを排除していないことにも注目している。脳波を広告目的で使うことの重大さを理解するには、「脳波でウソをつけるか」について考えてみるとわかるだろう。おそらく脳波は、もっともユーザの欲求を反映した行動履歴なのだ。そんな脳波を活用すれば、史上もっとも優秀なターゲティング広告が実現するだろう。
BMI研究は画期的なユーザインタフェースの実現につながると同時に、深刻なプライバシー侵害の手段も提供してしまう。もっとも、BMIに限らず最新技術の研究とはつねに諸刃の剣なのかもしれないが。
トップ画像出典:Facebookブログ「Imagining a new interface: Hands-free communication without saying a word」より画像を抜粋
■吉本幸記
テクノロジー系記事を執筆するフリーライター。VR/AR、AI関連の記事の執筆経験があるほか、テック系企業の動向を考察する記事も執筆している。Twitter:@kohkiyoshi