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『Anthem』失敗の原因は「BioWareマジック」を信じたから? 『Dragon Age 4』では教訓を生かせるか

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 トレーラー動画で斬新な飛行アクションを披露したことで大きな期待を集めたアクションRPG『Anthem』は、多数の深刻なバグを抱えたままリリースしたことによって評判を落としてしまった。そんな失敗の舞台裏を暴露した記事が公開された。その失敗の核心には、同ゲーム開発元のBioWareの「成功神話」があったようだ。

人気シリーズとは別のものを

 ゲームメディア『KOTAKU』は3日、「BioWareのAnthemはなぜうまくいかなかったのか」と題した長文記事を公開した。この記事は、匿名を条件をインタビューした19人のAnthem開発関係者の発言にもとづいて作成された。

 Anthemの開発が始まったのは、2012年末から2013年初頭頃だった。この頃はコードネーム「ディラン」と呼ばれていたという。このコードネームは、ノーベル文学賞を受賞したミュージシャンであるボブ・ディランにちなんでおり、同氏のように革新的な表現を目指すという意味も込められていた。その目指すものは、開発元BioWareの人気シリーズ『Dragon Age』や『Mass Effect』とは異なるファンタジーでもなければハードSFでもない世界観とシステムのゲームであった。また、初期のゲームコンセプトは現在のハクスラゲームのようなものではなく、過酷な環境のなかでできるだけ長く生存するというサバイバルゲームであった、とのこと。

 最初の大きな悲劇は、クリエイティブディレクターを務めていたケーシー・ハドソン氏がBioWareを退職してしまったことである。同氏は、Mass Effectシリーズを成功に導いた立役者であり、開発チームからの信任が厚かった。同氏が開発チームから去った後は、複数のディレクターによる合議制によって開発が管理されるようになった。しかし、この新たなリーダーシップは多くの開発関係者には優柔不断なものと見なされ、開発自体も迷走し始めたという。

そして開発現場は野戦病院と化した

 開発をさらに困難なものとしたのは、Anthemのゲームエンジンとして採用したFrostbiteである。同ゲームエンジンはEA傘下のスウェーデンにあるゲームスタジオDISEが開発したもので、こうした内製エンジンを活用するのはライセンス料を節約することがねらいであった。しかし内製エンジンにもかかわらず、DISE以外のゲームスタジオにその仕様が情報共有されていなかったのだ。そのため、同ゲームエンジンの基本機能を習得するところから開発が始まり、しかも習得が進むにつれて予定していたゲームコンセプトを実現できそうにないことがわかってきたのだ。そして、ゲームエンジンの仕様に合わせて、ゲームステージを何度も作り直すことの繰り返しに陥った。

 以上のように開発が停滞した状況でも、開発者たちの士気はあまり落ちなかった。というのも、BioWare所属の開発者たちは、誰もが「BioWareマジック」と呼ばれる言葉を信じていたからだ。この言葉の意味するところは、どんなにゲーム開発が停滞していても結局最後には素晴らしいものが完成する、というものだ。実際、Dragon AgeシリーズやMass Effectシリーズはこの言葉の通りになった。

 しかし、この魔法の言葉がAnthemでは通用しなかった。リリース予定日の9ヶ月前になってもゲームの基本部分すら出来ていなかった。突貫工事でテストプレイができるようになったものも、サーバの問題でゲームにログインできず、まったくテストできない状況が1週間続くこともあった。そして、ついに開発者たちの精神が焼き切れたという。そうした開発者たちのなかには、医師に最大で数ヶ月の「ストレス休暇」を命じられた者もいた。かくして、Anthemはまさに野戦病院と化した開発現場から世に放たれたのだった。その結果は、既報の通り散々なものであった。

      

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