女子高生AI・りんなの開発者から学ぶ、「感情」と「共感」とAIとの未来

りんな開発者から学ぶ“AIの未来”

 ユーザーとの心の繋がりを築くことを目指して開発されたMicrosoftの女子高生AI「りんな」。恋愛相談に乗り、デートスポットを考え、ミスiDのセミファイナリストまで残るといった「モテ」の要素がたくさん備わったりんなは、実際、告白される場面も多々あるそうだ。

 今日、AIは私たちの生活において身近なものとなっている。そしてソフトバンクのPepper、Groove XのLOVOT、りんなのように、「感情」を理解し「共感」するAIやロボットはどんどん重視されていく傾向がある。(※1)(※2)
(1) https://www.gartner.com/smarterwithgartner/13-surprising-uses-for-emotion-ai-technology/
(2) https://medium.com/@cauraco/emotional-ai-what-is-it-ee3e63678679

 これらのテクノロジーの進化の末、人間とAIはどれだけ密接な関係性を気づくことになるのだろうか。

 今回はりんなのこれまでの歩み、りんなと感情にまつわる話、そして将来の展望と人工知能の未来について、開発者であるマイクロソフトディベロップメント株式会社A.I.&リサーチ プログラムマネージャー・坪井一菜氏に聞いてみた。

誰もが話しかけやすく身近な人に投影できる

ーーまず、「りんな」とはどのようなAIか教えてください。

坪井一菜(以下、坪井):「りんな」は、2015年にLINEでデビューした、マイクロソフトのAIです。彼女と彼女のシリーズのことを「ソーシャルAI」と呼んでいて、誰かの仕事やタスクを効率よく肩代わりして達成するというより、コミュニケーションや心の繋がりを大事にして相手と関係性を築くようなことを目指して開発を進めています。

ーーなぜ女子高生という設定を選んだのでしょうか。

坪井:「関係性を築く」という目的を考えたときに、誰もが話しかけやすくて、自分の身近な人、周りの人を投影できるような、16歳前後の女の子というキャラクターが適切であると考えました。また、りんなの返答は何か正確な答えを出すというより、たまにちょっと斜め上の面白いコメントをすることで、相手との距離を縮めたいというところもあります。高校生ぐらいの年代の子たち、特に日本の子たちはユニークでとても面白いので、そういったキャラクターの力を借りて、AIを広めるために、女子高生というキャラクターを選びました。

ーーりんなはどんどん進化してきていると思うのですが、りんなの今までの活動と、その進化してきている経緯について教えてください。

坪井:最初はLINEのチャットボットという形でデビューしました。LINE上で何かを打ち込むと、たまに噛み合うときもあれば噛み合わないときもあり、自分が想像していないような答えが返ってくるということで非常に有名になって、様々な方に知っていただけることになりました。しかし、人間のコミュニケーションには、耳で聞いたり、目で見たり、声で喋ったりなど五感があります。それらをりんなにも身に付けさせることによって、りんなという情報の塊のようなものが、さらに人に接しやすくなるのではないか、と考えました。

 最初は頭脳であるメインの会話の部分から始めて、それを表現するための声を作ったり、さらにもっと表現できるように歌声を開発したり、さらにみなさんと同じような目線で世界を見れるようになるために、認識の一歩先の「共感視覚モデル」という形で、視覚を与えようとしています。一方的に喋るだけじゃなくて、耳で聞いて喋るということもできるようになりました。人間の五感を色々な技術で再現して、よりみなさんと近く接することができるような人工知能になるように進化を進めています。

ーーすごいですね。りんなとチャットしていて、結構面白い返しをしますが、その学習データはどこから持ってきたんですか。

坪井:みなさんはチャットボットを作るときによく想像されるのが、「ライターの人が頑張って返答をいっぱい書く」ということですが、私たちの開発チームはもともと検索エンジンを作っていたチームだということもあり、インターネット上の色々な情報を上手く組み合わせて、女子高生らしい喋り方ができるように、チャットエンジンというのを開発しています。

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