ジョーブログはなぜインフルエンサーが集まる店を作るのか? クラウドファンディングの真相を聞く

「根拠のない批判は、南米のハエみたいなもん」

ーー今回の企画も、また動画としてアップされているハードな企画も、「思いつく」ことと、「実現する」ことの間には、一般的には大きな壁があると思います。ジョーさんはそれをどう乗り越えているんですか?

ジョー:確かに、昔を振り返ると、自分の知らない世界に飛び込むときには、構えてしまう部分や不安もありましたね。それは、単純に成功した経験も失敗した経験もないからで。おもろいことを思いついても二の足を踏んでしまう人は、小さな階段を上ることから始めたらいいと思うんですよ。それが失敗でも、挑戦していない人と比べて、一つ答えを知っていることになるじゃないですか。僕は失敗がまっっっっったく悪いことだと思っていないし、宝物くらいの感覚なんですよね。よく言われることですけど、失敗から学ぶことのほうが多いし、動画にすればエンタメになりますし(笑)。

ーーなるほど、クリエイターの強みですね。

ジョー:失敗って笑い話になりますから。例えば、南米縦断企画で、頼りにしてたバイクが壊れたーーって、こっちからしたらたまったもんじゃないけど、視聴者からしたら「このあとどうするんやろ?」ってワクワクするし、めっちゃおもろい展開じゃないですか。だから僕も、失敗やトラブルがあれば、逆にそれを生かしてもっとおもろいことをしようと考えるんですよ。

 あとは、失敗だけじゃなく、批判意見を怖がっている人も多いですよね。僕はなんとも思わないんですけど、YouTuberを始めて、SNSで文句を言われてシュンとしてしまう、という人が多くて。でも、これも慣れなんですよ。南米のハエみたいなもんで、最初はめっちゃうるさいし鬱陶しいけど、途中で慣れてくる(笑)。現地の人なんか、ご飯にいっぱいたかっていても気にせんで食べてますから。批判意見はハエみたいに音も出さないし、怖がることなんてない。もちろん、聞くべき意見はたくさんあるけど、それも踏まえて自分はこう考えている、という芯がちゃんとあれば、「こいつらがわかってないだけやん」って、冷静に考えられるんです。

ーー時には“炎上”を利用したり?

ジョー:人に迷惑をかけることでなければ、炎上もいいと思いますよ。このクラウドファンディングに対する炎上なんか、自分で火を注いだところがあるので(笑)。2000万円というでかい金額に到達するためには、批判も含めた話題性が必要で。僕がいないところで勝手に賛否両論の議論が繰り広げられて、知らない人が僕のことを知ってくれて、そのなかに「おもろいことやってるやん。会ってみたいな」って、お金を出してくれたり。炎上って、コントロールさえ間違えなければコスパのいい広告なんですよ。僕はスポンサーがついている芸能人さんとは違うし、法律さえしっかり守っとったら、あとは表現の自由なんじゃないかという感覚ですね。

ーーなるほど。そうして思い切るためには「慣れ」が必要だというお話でしたが、ジョーさんにとってそのターニングポイントになった経験はありますか?

ジョー:めちゃくちゃいっぱいあるんですけど、最初に一歩を踏み出した瞬間と考えると、大学受験をやめて、親に内緒で沖縄のボクシングジムの門を叩いたことですね。進学校でみんな大学に行くなかで、僕は勉強をする意味がわからなくて。そんなときにテレビでボクシングの世界戦を観て、「何かに熱中している人って、かっこいいな」と思ったんです。同時に、高二くらいの時に、じいちゃんがガンで亡くなって。いつも怒ってばかりのじいちゃんが、最後に筆談で「やりたいことに向かって頑張れ」と言ってくれたんですよ。厳格で堅いじいちゃんで、いつもガミガミ言われていたから、僕のこと嫌いやと思ってたんですけど、後から聞いたら、僕が高校受験のときに夜な夜な神社にお参りしてくれたり、ずっと応援して、気にかけてくれていたと。そんなじいちゃんの最後の言葉が胸に残って、ボクシングをやってやろうと一歩踏み出せたんです。

 トレーニグは毎日苦しかったけど、仲間と目標を追う楽しさを知ったし、そこから「やりたいと思ったら、迷わずやる」という生き方をしよう」と決めたんですよ。「できるか、できないか」やなくて、「やりたいか、やりたくないか」。そして、「やりたいならやる」と。それでも足がすくむときは、周りに「やる」と言っちゃうのがいいですね。やらざるを得なくなるから(笑)。

ーー宣言して、自分を追い込む。

ジョー:今回のクラウドファンディングなんか、まさにそうですよね。最初にバーンと打ち出してしまって、周りが騒ぎになって(笑)。

ーーなるほど。動画ではEXILEのATSUSHIさんとの交流も公開されていますが、尊敬する人、目指したい人を考えると、どんな人が頭に浮かびますか?

ジョー:僕、ほんまに毎日いろんな人と出会うじゃないですか。そのときに、基本的に人のいいところ、自分にない部分を探しているんですよね。そういう意味では、出会ったほとんど全員をリスペクトしていて、すぐに影響されるんです。自信を持って言えるんですけど、僕、ミーハーなんですよ。むしろ全員から影響を受けまくったろ、と思っていて。最近も映画『ボヘミアン・ラプソディ』を観に行って、「ロックに生きよう」と思ったり(笑)。だから、今日のところは「尊敬する人はフレディ・マーキュリー」と言っておきます。

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