『ハン・ソロ』やマーベル作品にも参加 VFXアーティスト渡辺潤が語る「ハリウッドの現場」

 セミナー終了後、リアルサウンドでは渡辺にインタビューを行ない、VFXに携わるきっかけになった原体験や日本におけるVFXアーティストのレベル、今後のビジョンについて聞いた。この記事を機に、『スター・ウォーズ』や『マーベル・スタジオ』など、多くの作品で使用されている“スパイス”ことVFXに目を向けてみて欲しい。

 「すぐにその道に進みたいというわけではなかった」

ーーまずは、VFXの仕事に就こうと思ったきっかけから教えて下さい。

渡辺潤(以下、渡辺):高校生の時に観たハリウッド映画の影響はすごく大きいと思います。日本の映画とはスケール感が全く違って、VFXや画質、視覚効果に興味を持っていたので、どうやったらそういった映画ができるんだろうと感じていました。

ーー渡辺さんにとって原体験となった映画は?

渡辺:子供の頃に観た『スター・ウォーズ』シリーズや『バック・トゥ・ザ・フューチャー』です。『スター・ウォーズ』はミニチュア模型を撮影しているということを本で読んでいて、戦艦とか動き回っていたり、どうやってあんなことができるんだというのに興味が湧いていました。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を観てからは、(スティーヴン・)スピルバーグの映画がたくさん発表されるようになり、ユニバーサル(スタジオ)の作品をたくさん観たりして、将来そういった世界に進みたいなと、漠然に考えるようになりましたね。相当刺激を受けました。

ーーそこから映画の道を目指して行ったと。

渡辺:でも、その時は趣味というか憧れで、すぐにその道に進みたいというわけではなかったんですよね。好きが高じて高校の文化祭で、生徒会長がエスパーで手から光線を出して学校を乗っ取ろうとする敵を倒す、みたいな映画を撮ったりして。やっぱり映画は面白いなと思いつつも、進路を選ぶ時に、トランペットプレイヤーになるか、レコーディングエンジニアになるか、それともCGの仕事を選ぶか。その頃、段々とCGが出てきた時期で、東京工学院専門学校のCG科(現在の現CGクリエーター科)に1期生という形で入学して、なんとか今日までやってこれたという感じですね。

『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(c) 2018 & TM Lucasfilm Ltd.

ーーいろんな選択肢があった中で、CGを選んだんですね。例えば、『スター・ウォーズ』の旧三部作(エピソード4・5・6)と続三部作(エピソード7・8・9)を比べても、グラフィックの進化は歴然ですが、昨今の映画グラフィックの進化について渡辺さんはどう感じていますか?

渡辺:昔は一画面に乗るデータの数が決まっていたんですが、コンピューターの処理速度、メモリの量もどんどん増えていって、『アベンジャーズ』シリーズではものすごい人数が一画面で戦っている。昔の『スター・ウォーズ』は、ミニチュアを撮るのにスタジオの照明を最大限に調節して、立体感を出しているんです。自分が関わった『ハン・ソロ』では、ミレニアム・ファルコンがCGで動いているシーンを観て、ミニチュアのシーンを今撮影してもかっこいいんじゃないかなと思うことがありました。コンピューターでは、微妙な光の明暗や影、ディテールを後付けで調節して作るんですけど、ミニチュアの場合それが自然に出て、時にすごいものが出来ることがあるんですよね。ミニチュアの素晴らしさと、コンピューターの技術とで、今戦わせたらどうなるんだろうと思ったりします。今でもハリウッドでは巨大な建物を破壊したりする場合などに、ミニチュアが使われることはあるんですけれども、ミニチュアの良さが見直されることがあるのかなと思いながら『ハン・ソロ』に参加していました。

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