【ハンズオン・レビュー】ファーウェイが今年最後のフラグシップ「Mate 20 Pro」を国内発表

 ファーウェイ・ジャパンは「Mateシリーズ」の最新モデルとして「HUAWEI Mate 20 Pro」を発表した。市場想定価格は111,880円(税別)で11月30日より発売する。

 2018年も終盤まで差し掛かってきたなかで、おそらく今年最後のフラグシップスマートフォンであろう「HUAWEI Mate 20 Pro」がついに登場した。デザインは3Dのような立体ボディにガラスが流れるように溶け込んだデザインで、ソフトバンクからも発売される。カラーバリエーションはミッドナイトブルー、トワイライト、ブラック(ソフトバンク専売)の3色を用意。本体はIP68相当の耐水・防塵機能を有している。

 本体は前機種の「Mate 10 Pro」と比べて若干細長く、Pixel 3 XLのようなサイズ感だった。このクラスのスマートフォンとしては非常に持ちやすく、画面表示域も「Mate 10 Pro」の6インチから0.3インチ大きい6.3インチ(3,120×1,440ドット)になった。より多くの情報量を一度に表示することが可能になったことは大きく評価できる点だろう。従来よりもアスペクト比をより細長い19.5:9にしたことでこれを実現した。

左:Mate 20 Pro  右:Mate 10 Pro

 

 側面の電源ボタンはアクセントカラーが施されていることで、より映えたデザインになっている。ベゼル部分はSamsungのGalaxy スマートフォンのような湾曲した形になっているが、Galaxyのあのエッジに天気予報や通知を表示するといった、カスタマイズ性があるわけではない。

電源ボタンのアクセントカラー

 背面は正方形の中にカメラ(後述)が3つ、フラッシュライトが1つ搭載。指紋センサーが画面内蔵型に変更した。スピーカーについてはデュアルスピーカーに変更されているが、本体下部にはステレオ穴がない。実はUSB Type-C部分がスピーカーの音が出る穴の代わりとなっている。デザイン面では非常にスッキリとしている一方で、USB Type-C充電をしている状態だとこのスピーカーの音量や音質がどのように変化するのか正直なところ気になるところだ。

AIをフル活用

 「Mate 20 Pro」はHUAWEIのKirin 980チップセットを搭載。AI専用プロセッサーであるNPUを内包している。このNPUは「Mate 10 Pro」に採用されたKirin 970から初採用された。以前はカメラ、ソフトウェア処理や翻訳機に主に使われていたが、Kirin 980からはそのAIの利用幅が広がった。7nmプロセス技術によって開発されたKirin 980はCPU性能は75%、GPU性能は46%、NPU性能は226%向上している。省電力性ではCPUは58%、GPUは178%、NPUは182%と大幅に改善。バッテリーの持続時間に大きな期待が持てそうだ。他にもタッチの反応速度が最大47%、アプリの起動速度は最大51%、なめらかな操作性が最大42%改善された。

 また、スマートフォンのパフォーマンス性能もBorn Fast、Stay Fastを掲げており、利用して18ヶ月経ってもほぼ変わらないパフォーマンスだという。

 そして、AI面ではインテリジェンスなカメラ以外にもGPSの補足にも大きな貢献をしている。「Mate 20 Pro」ではデュアル周波数GPSを搭載しており、もともとGPSの精確性が良いということもある。GPSの精度はiPhone Xs MaxやGalaxy Note9と比べると約10倍正確だという。

 AIは場所や地形を基に最適なサテライトGPSを選択してくれるため、どこにいてもGPSの精度が大きく低下することは少ないという。

 このほかにも、カメラに写っている情報をインターネット上の膨大なデータからユーザーに様々なことを提案してくれる機能も搭載している。GoogleでいえばPixel 3 にも搭載されているGoogle レンズだったり、GalaxyでいえばBixby Visionにあたるのが、この「AI Vision」だ。実はこれEMUI 9.0から追加されている機能でもあり、Mate 10 ProのEMUI 9.0バージョンでも同様の機能が利用できる。「AI Vision」は調べたい被写体を写すことでカロリー計算や建造物の情報などを読み込むことが可能だ。これらはショッピングにも応用することができ、見た目が似たような商品を価格.comとヤフーショッピングから探してくれる。

「AI Vision」を用いてカロリー計算をしている

トリプルカメラの実力

 HUAWEIのフラグシップスマートフォンの定番といえばLeica協業のLeicaカメラだろう。「Mate 20 Pro」でもトリプルLeicaカメラを搭載。内訳は4000万画素(広角27mm f/1.8)と2000万画素(超広角16mm f/2.2)、800万画素(3倍望遠レンズ 80mm f/2.4)のトリプルカメラだ。センサーサイズは1/1.7インチでiPhone Xs Maxよりも1.25倍大きいサイズとなっている。ISO感度は102400まで対応。発表会では広角撮影の実力について数多く紹介する場面が多く登場した。

 HUAWEIといえば夜景も明るくいわゆる盛った写真になるのが特徴だが、本機種でもそれが引き継がれている。超マクロ撮影にも対応。米粒サイズの文字まで読めるほど接写(2.5cmまで寄れる)しても問題なく写真が撮れた。ブレずに撮影するのが少し難しいが、スマートフォンでこれだけ寄れるのは凄いことである。

 今までのHUAWEIの弱点でもあったビデオ撮影についても、本機種では大幅なテコ入れを行っている。特に手ぶれ補正についてはスタビライザーを用いたかのような滑らかさだった。下記動画はハリウッド効果を適用した状態で撮影した。傘の色が服と同化しており、被写体が定まっていなかったが、精度自体は非常に良かった。

Mate 20 Proで撮影したハリウッド効果動画

 インカメラは2400万画素。「Mate 20 Pro」では3D 深度感知カメラシステムを搭載。2400万画素のRGBカメラと近接センサー、IRカメラ、照度センサー、3万点のドットプロジェクターを備えている。これはいわゆる3D 顔認証に使うもので、単純にインカメラを使って顔認証を行う生体認証よりも遥かにセキュアだという。この3Dカメラではほかにも被写体を3DスキャンしてAR撮影をする機能や、自分自身をフェイスマスクを使って表情豊かに遊ぶこともできる。

以下、Mate 20 Proの実機で撮影した写真となる。

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