人間のいない新たなウェイストランドで始まる『Fallout 76』流マルチプレイの魅力とは

 ベゼスダ・ソフトワークスは11月16日、PS4/Xbox One/PC向けタイトル『Fallout 76』を発売する。本作は今から3年前の2015年にリリースされた『Fallout 4』から時系列や舞台を一新。戦争の影響によって人間が死滅した地上世界を再建するため、主人公は地下施設「Vault 76」から旅立つことになる。

 『Fallout』はこれまでシングルプレイに特化したゲームシステムを採用していたが、『Fallout 76』はシリーズ初のマルチプレイ機能を実装。サーバーに接続したユーザー同士が同じフィールド内に集ってプレイするオンライン要素がメインとなった。この大きな仕様変更に向けて、本稿では「マルチプレイ機能によってプレイフィールがどれほど変わるのか」、「過去シリーズと比べてストーリー面はどのように展開するのか」といった『Fallout 76』の核となる部分にクローズアップして情報をお届けする。

Fallout 76 – オフィシャルE3トレーラー

NPCが存在しない新たなウェイストランド「アパラチア」

 大前提として、『Fallout 76』には地上で生活する人間は見当たらない。前作『Fallout 4』の主人公は、何者かにさらわれた自身の息子を探すためにウェイストランドを放浪し、道中で遭遇するB.O.S.やミニッツメンといった派閥に手を貸すか敵対するかで迎える結末が違ったが、『Fallout 76』の舞台であるウェイストランドの「アパラチア」ではNPCが生活している様子はなく、ロボットや放射能の影響で異形のモンスターへと変わり果てた生物たちが生息するのみ。ではどのように物語が展開するのかと言えば、先人が残した記録データや録損済みのテープ音声によって徐々に世界観が明らかにされていく仕組みだ。

 地下シェルター「Vault 76」に住む主人公(ユーザー)は、主人公に先駆け地上へと歩を進めた監督官の足跡を追うことになる。早い話がフィールドを探索してゲームに慣れるためのチュートリアルにあたるわけで、この時点で他の見知らぬユーザーと交流を図ることができる。

協力・対人戦・商人プレイまで楽しめるマルチプレイ機能

 各ユーザーはゲーム開始すると自動的に各ワールドへ割り当てられる。ひとつのワールドの収容人数は基本的に24人となっており、フィールド内で遭遇すれば簡単なエモートやチャットで意思の疎通も取れる。NPCがいない分、「荒廃した世界で生身の人間に出会う安心感」はシリーズ中で群を抜いているだろう。挨拶を交わしたユーザーや元々のフレンドと協力関係を結べば、最大4人までのパーティーを作成可能。一人でも探索は問題なく進められるが、高難易度クエストの攻略や敵モンスターとの遭遇戦を考慮すると、パーティーを組んだ方が安全性は保証されるかもしれない。

 マルチプレイ機能の実装でもう一つ気になるのは、ユーザーとユーザーが争う対人戦(PvP)の有無だ。『Fallout 76』では、キャラクターレベル5に到達した段階でPvPが解放。1vs1の個人戦からパーティーvsパーティーの集団戦に発展することもあり、そこに第三勢力としてモンスターが加われば更に激しさは増すだろう。 ちなみに PvPで倒されてしまっても回収したジャンク品をその場に落とすだけで、実質的なデメリットは少ない。そのような意味でも、気軽に楽しめるマルチプレイ向けのコンテンツとして昇華されている。

 ちなみにPvPは一方的に他ユーザーへ攻撃しただけでは発生せず、相手ユーザーが応戦することで初めて成立する。逆に、無抵抗のユーザーにダメージを与え続けて倒したユーザーは賞金首となり、今度は他のユーザーからつけ狙われやすくなる。つまり、こちらに敵意を持たないユーザーへの無暗な攻撃は、自らの首を絞める結果に繋がりかねないわけだ。「無益な戦いは避けたい」「協力プレイを楽しみたいだけでPvPには興味ない」という場合は、他ユーザーの攻撃から無敵になる代わりに自分も攻撃できなくなる平和主義者モードを発動すればトラブルとは無縁になるので、プレイスタイルに合わせて設定を切り替えれば良いだろう。

 またフィールド内の好きな場所に設置できる「C.A.M.P(拠点アイテム)」では、探索や敵を倒して得られた素材アイテムを消費することで、クラフト機能によるオブジェクト編集や装備品の作成が可能。家具となるソファーや机を配置して生活感溢れる拠点を作るもよし、バリケードやマシンガンを設計して他ユーザーの侵入を防ぐのも良しと、ユーザーの色を好きなように反映できるのが嬉しいポイントだ。作成したアイテムの売買も行えるので、いっそのこと他ユーザーに銃器や回復アイテムを売りつける商人を演じるのも悪くないかもしれない。

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 『Fallout 76』はポストアポカリプスの世界を舞台にしている関係上、どうしてもゴア描写やブラックな設定も目立つ。とは言え、大きな目で見ればそこが『Fallont』シリーズの良い部分でもある。本作はマルチプレイによって過去作には無い新要素が追加されたほか時代設定も大きく異なるので、これまで『Fallout』シリーズをやり込んできたユーザーはもちろん、未経験者も「知らない誰かが歩き回るフィールドは何だか怖い……」と物怖じせず、まずは楽しみながらウェイストランドを生き残る処世術を身につけてみてはどうだろうか。

■龍田優貴
ゲームの尻を追いかけまわすフリーライター。時代やテクノロジーと共に移り変わるゲームカルチャーに目が無い好事家。『アプリゲット』『財経新聞』などで執筆。個人的なオールタイムベストゲームは「ファミコン探偵倶楽部」シリーズ。
Twitter:@yuki_365bit

■Fallout 76
公式サイト : https://fallout.bethesda.net/
発売元 : Bethesda Softworks
発売日 : 2018/11/15
価格 : 7980円(税抜)
ジャンル : RPG
備考 : SF サバイバル 北米

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