連載「バの音楽事情」
キズナアイ、KMNZ、X'Flare、somunia、ココロナキ……クラブで聴きたいVTuberのアンセムたち
バーチャルYouTuberの音楽シーンを楽曲紹介という形で追っていく、「バの音楽事情」第3回。今回は「クラブで聴きたい曲」を中心に紹介していこうと思う。
バーチャルYouTuber達の楽曲が「アニソン」などのように一つのカテゴリとして確立される日はまだ先になるだろうが、少なくともバーチャルYouTuberが好きな人達による音楽イベントはそろそろ開催されてもおかしくない頃合いだ。現場で周りが盛り上がる中で一人だけ「この曲何?」といった状態にならないためにも、絶対にチェックしておきたいアンセムから順に紹介していく。
Kizna AI「Hello, Morning」
言わずと知れた「バーチャルYouTuber」という言葉の始祖、キズナアイ。
「Hello,Morning」は、2016年末から活動する彼女が2018年7月にリリースした初のオリジナル楽曲である。作編曲はFuture bassを基盤としたサウンドで国内外でも注目を集めるNorが担当し、作詞はキズナアイ本人が担当。真っ白な空間でAIとして生まれたキズナアイの切なくも希望に満ちた歌詞は、古くからのファンには強く刺さっただろう。
Norの得意分野であるFuture bassを取り込んだポップなサウンドで、アニソン・クラブシーンではすでに多くの場所でこの楽曲が使われ始めている。kz(livetune)に憧れて作曲を始めたNorが、「Hello, Morning」のリリースされた夜にMograというクラブハウスに足を運んだ際、出演者であるkzが目の前で「Hello, Morning」をかけた、というストーリーは一部でちょっと有名。各種ストリーミングサイトでも配信中。
KMNZ「VR」
ヒップホップ系バーチャルYouTuberユニット「KMNZ(ケモノズ)」のオリジナル楽曲。作編曲は国内・国外問わず凄まじい人気を誇るトラックメイカーのSnail's Houseが担当している。
歌詞はKMNCRAW(ケモノクルー)と呼ばれるKMNZの運営に関わる人々によって作られたらしい。サウンドはBPM131のエレクトロハウスだが、二人の掛け合いを活かしたラップがヒップホップ性を担っている。結果として起きた融合が他では聴くことのできないオリジナリティを生み出しているようだ。
歌ってみた、リミックスなどの二次創作が公式から奨励されている珍しい作品であり、KMNZのホームページからはカラオケ版の音源をダウンロードすることができる。各種ストリーミングサイトで配信中。
X'Flare「拡散性マジョリティ」
バーチャルYouTuber「X'Flare(クロスフレア)」によるオリジナルMV。元はK.AyuTaka氏が主催するサークル「X enc'ount」のキャラクターだったが、2018年9月頃にプロジェクトの一つとしてバーチャルYouTuberとしてデビュー。
X enc'ountは音楽で人々に夢と希望を与える機関であり、クロスフレアは任務をこなしながら別れた姉を探している、らしい。
「X End'less story」というタイトルでストーリー形式の動画を展開しており、この楽曲はX End'less storyの主題歌である。Future bass的サウンドを取り入れたハードコアで、MVはモーショングラフィックスによるハイクオリティなものに仕上がっている。3:20〜あたりにベースドロップもあるのでそちらも必聴。