壊れたガラケーは電気ショックで復活する? 反響呼んだ“復活イベント”の裏側

 そんな仙台の会場に、3.11で自宅が大規模半壊に見舞われたという高齢の女性が「ガラケーのデータを復活させてほしい」と現れた。何でも、その女性の夫が「津波に襲われた時に撮影した写真を取り戻したい」と言っているらしい。しかし、残念ながらデータは元に戻らなかった。

 それにしても、なぜ震災から7年経った今、急に写真を見たくなったのだろうか? 早速、取材班が夫婦の自宅を訪ねて夫の修さんの話を聞いてみると、当時、逃げながら近所に避難を呼びかけ続けたものの、近くに住む6人が命を落としてしまい、そのため、しばらくは精神的に塞ぎ込んでいたのだとか。今になって写真を取り戻したいと考えたのは、津波の恐怖を風化させずに記録として伝えていくために必要だと感じたからだという。

 そんな想いに応えるべく「ガラケーの駆け込み寺」の異名を持つ大阪の基盤職人のもとへ行き復元を託すことに。しかし、やはり起動することはなかった。データは復活しなかったが、「画面は出てこなくても、携帯自体が自分にとっては大事です」という修さん。たとえ画像が見られなくても、緊急事態でも肌身離さず握りしめたガラケーは、当時の記憶を含めた様々な想いが染みついた、修さんにとってかけがえのないモノなのだろう。

■こじへい
1986年生まれのフリーライター。芸能・スポーツ・音楽・カルチャーのコラム・リリース記事から、ゲームのシナリオ、求人広告まで幅広く執筆中。

関連記事