FPSはVR時代へ! 没入感がスゴい『Firewall Zero Hour』プレイレポート

VRで楽しむFPS『Firewall Zero Hour』レビュー

 作品世界へのかつてない没入感が得られる「VR」(バーチャル・リアリティ)技術。一般ユーザー向けのゲームにおいても導入が進んでいるが、ついに、実際に銃を持ち、戦闘を行う体験ができる「PlayStation VR」(以下PS VR)専用ソフト『Firewall Zero Hour』が登場した。今回は、家庭用ゲーム機はもちろん、PC用ゲームも含めて約8年間、FPSをプレイしてきた筆者が、ガチでプレイしてみたレポートをお伝えしたいと思う。

情報の制約がリアリティを感じさせる

    

 まずは細かな操作説明より、体験としての面白さについて。本作をプレイしてまず感じたのが、かつてない「リアルさ」だ。例えば、FPSではミニマップ、残弾などの情報が画面上に表示されることが多い。『Firewall Zero Hour』も例に漏れず、ミニマップや残弾は表示されるが、その表示場所が非常にユニークだ。マップや残り時間は左手首の内側に装着されたスマホのような端末に、残弾は武器の上部にホログラムのような形で表示されており、他の必要な情報表示も最低限に抑えられている。こういった没入感を高める工夫により、ゲーム内のキャラクターになりきってプレイすることができる。

ルールはシンプル、戦略は奥深い

 ルールは至ってシンプル。1チーム最大4人で編成され、アタッカー(攻撃側)とディフェンダー(防衛側)がパソコンの機密データを巡って攻防戦を繰り広げる、といったものだ。

 アタッカーは敵地のパソコンに保管されている機密データを盗むことが目的。まずは、2箇所に配置されているファイアウォール装置を排除する必要がある。ファイアウォールを解除するとパソコンの位置が判明し、ハッキングが可能となる、という流れだ。機密データが入ったパソコンをハッキングし、データを盗み出せば勝利となる。

 一方、ディフェンダーは機密データを盗むために攻めてきたアタッカーからパソコンを守るのが目的だ。アタッカーがファイアウォールを解除した際や、ハッキングを開始した際に指示しているハンドラーから連絡が入るので、それを頼りに敵を殲滅する。機密データを守り抜けば勝利となる。

 ルール上、4人全員が死亡すると実質上「敗北」となる。だが、攻撃を受けてもすぐには死亡せず、ダウン状態となり、その間に仲間に手当てをしてもらうことができれば、戦闘に復帰することができる。しかしながら、ヘッドショットや爆発によって再起不能のダメージを受けた場合はその限りではなく、即死するため注意深く立ち回る必要がある。

 最大4人vs4人の8人で対戦することになるが、マップは狭めで立体感があるため、そこに奥深い戦略が生まれる。敵を全滅させるのもよし、敵を引きつけている間に味方にファイアウォールの解除や、ハッキングに向かってもらうもよし、1人の敵を複数人で攻撃して有利な状況を作るもよし。実際にプレイしてみたところ、1人がキルを取りまくって勝てるときもあれば、キルを重視するあまり、いつの間にかハッキングされている時もあったので、攻めと守りのメリハリが重要だと感じた。

仲間との連携が重要に

 また、仲間との連携の重要性も強く感じられた。PS VRにはマイクが内蔵されているので、このゲームをプレイする環境があるということは、VC(ボイスチャット)も可能ということだ。

 銃声がした時などはマップ上に大体の位置が表示されるが、基本的にはマップ上に敵は表示されないので、互いに分かっている情報を常に共有しながら、罠が置いてある場所に誘い込んだり、挟み撃ちにしたりすると、さらに有利に戦闘を進めることができる。

 また、味方がダウンしてしまったとき、蘇生と交戦のどちらを優先すべきか考えることになるが、ダウン状態のプレイヤーが敵の状況を味方に知らせることで、その判断の精度が格段に上がる。また死亡してしまった場合にも、マップ各所に配置されている監視カメラの映像を見ることができるので、“天の声”として味方に状況を伝え、戦闘を手助けすることができる。このことも、チームプレイの重要度をさらに高めるのだ。

 安定して勝利を目指すには、このように常に敵の位置や、自分の状況などを仲間と連携しながら戦うことが必須となる。ぜひ、信頼できる仲間とプレイしてほしいゲームだ。

操作は一般的なFPSとほぼ同じ

 今回は「PlayStation VR シューティングコントローラー」(後述)を使用してプレイしたが、左スティックで移動、左スティック押し込み(L3)でダッシュ、□ボタンでリロード、△ボタンで武器切り替えなど、操作は一般的なFPSとほとんど変わらず、違和感なくゲームに集中することができた。FPSに慣れたプレイヤーであれば、説明書やチュートリアルがなくても、操作することができるだろう。

 一方で、一昔前のFPS作品にあったようなスピーディーさ、サクサクとしたテンポ感ではなく、『Firewall Zero Hour』はゆっくりめの動作になっているため、初心者でも「何が何だかわからないうちに死んでしまう」というケースは少なくなるだろう。そもそも、数十キロの装備を背負った歩兵が、ジャンプしながら相手拠点に突入し、サクサクと敵を倒していく、というのは非現実的で、移動速度が抑えめの本作は、リアル志向だと捉えることができる。

レッドドットサイトも超リアル

 FPSをプレイしたことがある人ならお馴染みの光学照準器「レッドドットサイト」も、超リアルに描かれている。FPSのキャラクターはADS(銃を構える動作)をすると、レッドドットサイトの照準はサイトの真ん中に表示される。だが、このゲームではーーというより、現実世界でのレッドドットサイトでのエイムは、そうはいかない。

 レッドドットサイトは、照射されたレーザーが複雑に屈折することで照準を表示している。そうすることで銃の角度に左右されずに着弾点に照準を表示し続けることができる、という仕組みだ。そのため、本来はしっかりとまっすぐサイトを覗かないと、照準の赤い点は中心に表示されない。本作では、実際に銃やエアガンなどを触ったことがある人にしかわからないような細かな点まで再現されており、ミリタリーに少し詳しい筆者から見ても、驚きの連続だった。

武器、マップ、キャラが豊富

 気になる武器だが、サブマシンガン、ショットガン、アサルトライフルといったベーシックなものはもちろん、ガジェットとしてC4爆薬、弾薬箱などを使うこともできた。ランクが上がっていくとメイン武器、サブ武器にそれぞれアタッチメントが装着可能で、自分好みにカスタマイズして使うことも可能だ。

 また、マップやキャラの種類も豊富で、マップは現時点で9種類、キャラは12人が登場することが判明している。さらにキャラに自分好みのスキンを適用することで、個性を出すこともできる。

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