アリアナ・グランデ「ストーリーテリングDJ」に見る、新たなパフォーマンスの可能性

アリアナ・グランデ「ストーリーテリングDJ」に見る、新たなパフォーマンスの可能性

 アリアナ・グランデの約2年ぶりとなる4thアルバム『スウィートナー』がリリースされたことを受けて、8月17日に渋谷 PLUG IN STUDIOにて記念イベント『Ariana Grande “Sweetener” Release Party』が開催された。同イベントでは、日本初となる「ストーリーテリングDJ」のパフォーマンスが行われるとのことで、リアルサウンド テック編集部も取材に向かった。

 ストーリーテリングDJとは、COTODAMA社とPioneer DJ社が共同開発した歌詞をビジュアライズするDJソフト『rekordbox lyric』を活用したDJプレイで、今回はDJの正面に配置した透過スクリーンのほか、両脇の壁にも楽曲とシンクロさせる形で歌詞を投影する。DJを務めるのは、インターネットラジオ「block.fm」でラジオパーソナリティーとしても知られるTJOと、バレアリック・スタイルDJとしての感性を軸に幅広いジャンルで活躍するカワムラユキだ。


 TJOは「クラブやラジオなどで接することの多い彼女の声。その力強さや繊細さ、そして喜び、時には悲しみを伴った彼女の放つメッセージを、今回アリアナ・グランデが大好きな皆さんと一緒に、サウンドだけでなく歌詞の世界も共有できる場に参加できてとても光栄です。僕はクラブDJとして現場感も感じられるパワフルなプレイをお届けしたいと思います」とコメント。一方のカワムラユキは「普段はリズムやヴァイブスで繋ぐことが多いのですが、今回は歌詞に重点を置いたStory Telling DJという事で、アリアナの歌力や存在感に圧倒されながらも、彼女が産み出す時代の声、それは女性の強さや弱さ、深い哀しみや痛みなど、あらゆる愛にまつわる感情がリリックに記されていて、その数々を私なりの共感に組み合わせて、時代の運命とシンクロしながら、新しい景色をお魅せできれば幸いです」と語っている。


 初めて鑑賞する「ストーリーテリングDJ」は、クラブでのDJプレイやライブなどとはまた異なる体験だった。三方向に映し出された映像には、楽曲との親和性を踏まえてのことか、英語でそのまま記される場合もあれば、日本語で記される場合もある。単にカラオケのように文字が流れていくのではなく、時に上下が反転したり、あるいは単語の一部が大きくなったりと、歌詞の意味をさらに強調するようなエフェクトがかかっているのが特徴的だ。


 筆者は英語が得意ではないため、洋楽を聴くことは大好きなものの、その意味がなんとなくしか掴めないのが、これまで大きなストレスだった。当たり前かもしれないが、リアルタイムで流れる歌詞とともに聴くことで、楽曲への理解はグッと深まる。家で歌詞カードを読んでいるのともまた違って、大勢のリスナーとともにその意味を噛み締めるのは、どこか映画館での体験にも似ていた。その意味で、「ストーリーテリングDJ」はインタラクティヴな集団体験型のエンタテインメントといえるだろう。アリアナ・グランデの新曲の歌詞が、現在の彼女の心境(言わずもがな、結婚を発表したコメディー俳優ピート・デヴィッドソンとの関係性)を色濃く反映していて、幸福感の溢れる内容だったことにも大変な感銘を受けた。

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