「Magic Leap One」発売でARヘッドセット市場の行方は? 海外メディアで「HoloLens」との比較進む

「Magic Leap One」開発者版、販売開始

 現在までに23億ドル(約2,500億円)以上の資金を集めながら、長らくリリースされていなかったARヘッドセット「Magic Leap One」の開発者版がついに販売を開始した。このARヘッドセットは、競合製品の「HoloLens」を凌駕するところもあるのだが、その一方で今後のシェア獲得に向けては課題が山積している。

公式動画コンテンツも公開

 ARヘッドセットは、スマホなどを使わずにAR体験を可能とする製品だ。このカテゴリーは、長らくMicrosoftが開発するHoloLensの独壇場であったが、Magic Leap One開発者版が販売されたことで、市場の覇権争いが始まることが予想される。

 現在、Magic Leap Oneは公式サイトから注文することができ、価格は3,000ドル(約33万円)のHoloLensより安い(といっても高いのだが)2,295ドル(約25万円)である。もっとも、実際に購入できるのはアメリカの6都市に住むユーザに限りられており、注文画面から郵便番号を入力して購入可能地域かどうか確かめるようになっている。この注文画面には、購入可能地域を順次拡大していくというメッセージが表示されているのだが、日本で購入できるようになる時期は定かではない。

 今回の販売開始に合わせて、新たにふたつの公式動画コンテンツがYouTubeで公開された。ひとつめは、アイスランドのポストロックバンドSigur Rós(シガ―・ロス)とコラボした動画コンテンツだ(以下の動画参照)。

Sigur Rós in collaboration with Magic Leap Studios | Tónandi

 もうひとつは、部屋に満たされたARオブジェクトを専用コントローラーで操作している様子を収めたものである(以下の動画参照)。

Magic Leap Studios | Project Create

海外メディアの反応

 Magic Leap Oneの販売開始を受けて、多くのテック系海外メディアは製品レビュー記事を公開している。CNETは、同ヘッドセットがHoloLensよりグラフィック性能に優れており深い没入感が得られると称賛する一方で、ARオブジェクトが視野全体を満たすことがない、と不満を表明している。MIT Technology Reviewも同様の不満を述べる一方で、同ヘッドセットの視野角はHoloLensのそれより広いことを指摘している。

 KnowTechieは、同ヘッドセットの価格を問題視している。HoloLensより安価とは言っても2,295ドルという価格は、明らかに一般消費者向けではなく一部の限られたユーザしか購入しないだろう、と評している。そのうえで、普及のためにはもっと安価なバージョンを開発しなければならない、とコメントした。

 また、前出のMIT Technology Reviewの記事では、同ヘッドセットの今後の課題としてキラーコンテンツの開発を挙げている。そして、キラーコンテンツの開発はVR市場の課題でもある、と述べている。

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