『サガ スカーレットグレイス 緋色の野望』に見る、ゲームファンを魅了してやまない“サガ・エッセンス”

 スクウェア・エニックスは8月2日、マルチプラットフォーム向けソフト『サガ スカーレットグレイス 緋色の野望』を発売した。

 本作は2016年12月15日に発売されたPS vita用ソフト『サガスカーレットグレイス』に、様々な新要素を追加したアッパーバージョンだ。また、今回は携帯機専用ではなく、CS機やPC、そしてiOS/Androidを搭載するスマートフォン向けのRPG作品となる。2年越しの発売にあたり、マルチプラットフォーム展開で間口が広がっただけでなく、大胆なゲームバランス調整と追加要素によってブラッシュアップされ、新たな作品へと生まれ変わった。

『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』 トレーラー

受け継がれるロマサガのエッセンス

 本作は、1989年に発売されたゲームボーイ用ソフト『魔界塔士Sa・Ga』に端を発する“サガシリーズ”に含まれる。ここで、同シリーズを振り返っておきたい。

 『魔界塔士Sa・Ga』から、ゲームハードが据え置きのスーパーファミコンに移り替わった時、RPGの中でも異色のゲームシステムが組み込まれる作品が産声を上げた。それが1992年発売の『ロマンシングサ・ガ』(ロマサガ)だ。

 『ロマンシングサ・ガ』はサガシリーズの4作目にあたる。1990年代当時の国産RPGと言えば、16ビット機の登場でゲームの多様化は進んだものの、まだまだ『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』のフォロワー作品が多かった。ストーリーの違いはあれど、戦闘やキャラ育成などのゲームシステム面は、現在のRPGと比べて幅は狭く、オーソドックであったように思われる。一方で『ロマサガ』シリーズは、ユーザーが主人公を選び、好きな順番で物語を進められる「フリーシナリオ」や、戦闘中に必殺技を習得する「閃き」といった斬新なシステムを実装し、多方面のゲーム作品に少なからず影響を与えた。

 そのシステムの多くは、『ロマサガ』のナンバリングタイトルや『サガフロンティア』、『アンリミテッド:サガ』などへ受け継がれる。正直なところ、サガシリーズは「誰でも楽しめるRPG」ではなく、やり込み重視のミドル~コアユーザーの心に刺さった作品という印象だ。しかし、シリーズを通して凝縮されたサガ・エッセンスには、ユーザーを惹きつける魅力が詰まっているのは確かである。そして『緋色の野望』は、約30年間をかけて積み上げてきたサガシリーズの本質を備えている。

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