海賊版マンガサイト問題で脚光、急成長アプリ『ピッコマ』の新しいビジネスモデルとは

 ゲームアプリの次の市場とも言われ、ここ数年で大きく成長した「マンガアプリ」業界。そんな中でひと際目立つ成長を遂げているのが、『ピッコマ』というアプリだ。大企業の参入が加速するマンガアプリ業界で、何がユーザーを引きつけているのか。本稿ではその秘密を探っていく。

突如頭角を現したマンガアプリ「ピッコマ」

 2018年1月、アプリ市場データを提供するApp Annie(アップアニー)が、2017年国内のトップアプリランキングを発表した。非ゲームの収益ランキングでは30位以内にマンガアプリが9つも入る超激戦区になっている。そんな中、全体の11位にランクインしたのがピッコマだ。マンガアプリでは3位に巨大なプラットフォームに紐づいた『LINEマンガ』、9位に少年マンガの人気作が揃う『少年ジャンププラス』がランクインしており、ピッコマは3位の実績を上げている。
 

 

 『マンガワン』や『Comico』、『マンガボックス』など、以前から注目集めていたアプリも、他の大手出版社が展開するサービスも抑えての上位ランクイン。ピッコマは2016年4月にサービスを開始し、2017年9月に累計ダウンロードが500万を達成したばかりの新鋭であり、加速度的な成長を遂げていることがわかる。

 ではなぜ、業界で後発組のアプリがこれほど短期間のうちに多くのファンを集め、収益化できたのだろうか。ピッコマの運営会社や、サービスの内容を見ていこう。

運営会社は韓国NHN系のカカオジャパン

 ピッコマを運営しているのは韓国に本部を置く、株式会社カカオジャパンだ。メッセンジャーアプリ『カカオトーク』で会社名を耳にした人も多いのではないだろうか。ベンチャー業界に詳しい人ならご存知だろうが、LINEやHangameなどと同じNHN系から派生した企業である。

 現在代表を務める金 在龍氏も、Hangameの出身であり、ゲームアプリで学んだことをマンガアプリにも活かしている。そんなピッコマは日本の版元だけでなく、韓国のウェブトゥーン(縦読みマンガ)のローカライズも行っている。

シンプルに読み進められる「待てば¥0」モデル

 ピッコマの最大の特徴は「待てば¥0」という仕組みだ。ゲームアプリでよくみられるフリーミアムモデル(基本は無料だが、課金要素あり)を採用しており、課金をしなくても一定時間待てば、無料で次の話が読めるというシステムになっている。

 マンガアプリは基本的に、1日に一定数配布される「無料チケット」と、課金による「有料チケット」を消費して、対象コミックから読みたい作品を選び、話数単位で作品を読むことになる。

 しかしピッコマは、「○○というコミックの○話」という形で統一のチケットを消費するのではなく、作品ごとにチケットが独立して管理されている。つまり、作品ごとに無料チケットが配布されていき、多くの作品を同時に読み進めることができるのだ。

 これにより、好みの作品に出会う機会が多く生まれ、結果として「課金して読む」ユーザーの母数が増えているようだ。

作品ごとの細かい運用

 チケットについてより細かく見ていこう。どのマンガを読んでも同じ1チケットが消費される他のマンガアプリでは、新作でも旧作でも、長さが短くても長くても、基本的に同く「1話」という扱いだ。単行本の値段が違うマンガでも、同じ値段のチケットを消費して1話を読む形になる。

 比較してピッコマは、作品ごとに、ユーザー動向のデータを参照しながら、1話ごとの価格や無料チケットの回復時間も、それぞれに設定している。読者が「この作品でこの価格なら、購入して続きを読もう」と思うバランス調整に余念がなく、一覧として表示される作品のサムネイル画像(表紙)も定期的に変更して、読者の関心をひくという取り組みも行なっている。実際、読むのを中断したマンガも、表紙のイメージが変わると読みたいと思うことがあるから不思議だ。

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