Spotify上場で音楽業界はどう変わる? ジェイ・コウガミに聞く

 米国時間4月3日、音楽ストリーミング配信サービスのSpotifyが、ニューヨーク証券取引所に上場した。新たに株式を発行しない「直接上場」で、ロイター通信によれば、初値は事前に発表されていた参考価格の132ドルを大きく上回る、165.9ドル。終値は149.01ドルとなった。

 この上場は、音楽業界にとってどんな意味を持つのか。デジタル音楽ジャーナリストのジェイ・コウガミ氏は、「これを機に、音楽のサブスク型の配信ビジネスへの注目度は高まり、有料ユーザーの新規獲得など競争はよりグローバル規模に広がり、激しくなる」と予測する。

「約7年前にアメリカで上場したラジオ型の配信サービス『Pandora』の現在の企業価値が約12億ドル。Spotifyは約270億ドルですので、音楽サービスでも大きな差が出ています。Netflixが映像業界を変えたように、今後はメディアも市場も、Spotifyには音楽業界を変えるサブスクモデルのエコシステム構築と経済効果を期待し、注目していくはずです。またApple MusicやAmazon、Google、YouTubeのサブスクサービスへの注目も高まり、競争はグローバルに激化。サブスク型ストリーミングビジネス中心の音楽業界が成功できるか、レコード会社や音楽サービス企業にも、市場からシビアな目が向けられるはずです」

 今回、期待を持って市場に受け入れらたように見えるSpotifyは、上場によってどのように変化していくだろうか。

「基本モデルは今後も変わらないでしょう。つまり、クリエイターが作品を配信し、ユーザーが楽しむためのネットワーク作りという長期戦略にフォーカスし続けるはずです。そのなかで当然、Spotifyは現状、赤字経営のため、利益率を上げるための戦略も必要で、今後は投資家やメディアから、有料ユーザーを増やすためのビジネスモデルが細かく評価されることになります。注目されるのは、中国、ロシア、インド、アフリカ大陸でのサービスローンチといった海外展開と、プレイリストやレコメンデーションのマッチング機能向上に向けたテクノロジーの強化です」

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