『セインツ・ロウ4』“大バカ”なオープニングの素晴らしさ ボケにボケを重ねる足し算の美学
もちろん、本作のこうしたボケまくる姿勢はオープニングからエンディングまで一貫しています。宇宙人が襲って来る、超能力を使う、キース・デイヴィッドがキース・デイヴィッド役で出てくる、ゲームが『ファイナル・ファイト』っぽい横スクロールのアクションになる……ゲーム中のボケを数えだしたらキリがありません。アイディアを思いついても、実際に行うのは難しいもの。それがボケに走るアイディアだと尚更です。ゲームの制作費が年々膨らんでいる昨今、億単位の金が動く現場で「主人公が大統領で、宇宙人が攻めてくるんですよ! それでオープニングは『アルマゲドン』をやりましょう!」と提案するのは並大抵のことではないと言えます。ここまで最初から最後まで真面目に大バカなゲームはそうそうありません。そんな真摯な姿勢と、その姿勢を雄弁かつ完璧に描いている点を併せて、改めてこう言いたいと思います。私が一番好きなゲームのオープニングは『セインツ・ロウ4』のオープニングです、と。
■加藤よしき
ライター。1986年生まれ。暴力的な映画が主な守備範囲です。
『別冊映画秘宝 90年代狂い咲きVシネマ地獄』に記事を数本書いています。