動画で振り返るユニークすぎるロボットたち 「ボストン・ダイナミクス」とはどんな企業なのか?

 「ボストン・ダイナミクス(Boston Dynamics)」という企業をご存知だろうか?
 同社はアメリカ・マサチューセッツ州に拠点を構え、ロボットの研究開発を行う企業だ。

 企業名を聞いたことはなくとも、まるで犬のようにスムーズに四足歩行するロボット「Spotmini」、人間と同じような関節を持ち、バック宙をするロボット「Atlas」など、ソーシャル上で同社が発表した動画を目にしたことのある人は多いだろう。こうした動画は多くの反響を呼び、発表されるごとに瞬く間に拡散された。この3月、「Spotmini」が醸し出す雰囲気にディストピア性を見出し、人類が滅亡した地球で彼らが生きる様を描いた動画が投稿され、大きな話題になった。

 滅亡した人類に変わり、無数のSpotminiが忙しく動き回りながら、地表で何かの作業を行う。

 さて、このようにユニークなロボット技術で私たちに驚きを届けるボストン・ダイナミクス社だが、実は2017年6月にソフトバンクグループの傘下となっている。ソフトバンクが推進する“Pepper”を中心としたロボティクス技術の発展に寄与しているのだ。

 今回はそんなボストン・ダイナミクス社のYouTubeチャンネルでアップロードされた動画をもとに、同社の「ユニークなロボット技術」がどのように進化していったのかを追っていく。

より生き物に近づいた理由は「戦場で自由に歩き回るため」

 ロボットそのもののの進化を振り返る前にまず、ボストン・ダイナミクス社の沿革をおさらいしていきたい。会社にとってどのような機関・会社と提携してきたかは、研究の指針に大きな影響を与えるからだ。

 ボストン・ダイナミクス社の創業は1992年。MIT(マサチューセッツ工科大学)のマーク・レイバート教授(現CEO)のロボティクス・AIの研究がスピンアウトされる形で設立された。同社が長年開発に力を入れてきたのは4足歩行ロボット「BigDog」。2005年にアメリカ防総省国防高等研究事業局(以下、DARPA)の出資で始まったこの開発は、多くのメディアで取り上げられ、ボストン・ダイナミクス社の名を一躍有名にした。まるで生き物のような動きのユニークさは、軍事研究に端を発していたのだ。DARPAからの出資はは2015年で終了するが、2015年までの数年間で軍事的な用途を明確にした動画をいくつも確認することができる。

Air Source Military YouTubeチャンネル

 2013年にはアメリカ軍との提携を結びつつGoogleへ事業を売却。しかしその後、2016年に開発の方向性などで対立が生じたとされ、Googleから独立した。その後、買収へ名乗りを上げたのがソフトバンクだった。

 現在、ボストン・ダイナミクス社がどんな研究をしているのかは明らかではない。しかし、ソフトバンクのプロジェクトに参画しているとなると、私たちの目の前で「Spotmini」にような4足歩行ロボットが現れる日も近いのかもしれない。“Pepper”の第2形態として、「歩くPepper」が登場する可能性も十分に考えられる。

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