金子大地が見せる“グラデーションの芝居” 『ブラッサム』保の多面性が胸を打つ理由

『ブラッサム』保の多面性が胸を打つ理由

 『ブラッサム』の保も、本当にさまざまな顔を持つ。

 保の下宿先は、血縁のない異性を招いてはならない。それにもかかわらず、行き場のない珠をあっさり受け入れてしまう。しかも、「兄妹という設定でいればいい」と言い出すので、「あれ、意外と策士なのか?」と思いきや、どうやらそうでもないらしい。というのも、下宿の大家の娘・マキ(中村優子)が二人の関係を疑い始めると、あっさり嘘を白状してしまったのだ。

 「大丈夫。わしに任しとけ」と男らしく言い切ったので、キュンとしていたら、「すみませんでした! 僕たち、嘘をついておりました!」と土下座をする。いや、嘘をついたことを認めて謝罪するのは決して悪いことではないのだけれど、あんなにカッコよく決めておいて、まさかの土下座とは。てっきり、何か秘策があるものだと思っていたので、思わず笑ってしまった。

 策士なのかと思えば、意外と不器用。兄貴肌なのかと思いきや、優柔不断。頼もしく見えて、ちょっと頼りない。さまざまな顔を持つ保だが、どんな一面を見せられても、“意外な一面”ではなく、「ああ、保らしいな」と思ってしまう。これは、一見すると矛盾するような人間の多面性を、一人の人物として成立させる力を、金子が持っているからだと思う。

 わたしたちは、保のことを「〇〇な人間だ」と簡単に言い切ることができない。ひとつの言葉では表しきれない複雑さがあるからこそ、どこか人間臭くて、目が離せなくなる。金子大地は、そんな人間の曖昧さを、曖昧なまま魅力に変えられる俳優なのだと思う。

■放送情報
2026年度後期 連続テレビ小説『ブラッサム』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜から金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:石橋静河、加賀まりこ、松たか子、国仲涼子、渡部篤郎ほか
作:櫻井剛、小松與志子
主題歌:YOASOBI
制作統括:村山峻平、櫻井壮一
プロデューサー:大野陽平
演出:盆子原誠、中泉慧、佐藤玲衣、田中陽児、小林直毅、野田雄介
写真提供=NHK

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマ」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる