『ホテル・インヒューマンズ』今秋イチの必見アニメ 映画好きも唸る“殺し屋もの”の新境地

映画好きも唸る『ホテル・インヒューマンズ』

 社会の闇で生きる殺し屋たち。ある者は金のため、ある者はやむを得ない事情のため、ある者は信じる何かのため……ともかく殺し屋たちは人を殺す。しかし、そんな殺し屋たちにも安息の時間は必要だ。「ホテル・イン・ヒューマンズ」は、インヒューマン=人ならざる者たちを受け入れる、殺し屋専用のホテルである。そしてホテルに勤めるコンシェルジュは、客である殺し屋の要求に、決してNOと言わず、最高のサービスを提供していく。

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殺し屋専用のホテルを舞台に、さまざまな事情を抱えた殺し屋たちと、彼らの依頼に応えるコンシェルジュたちの物語を描くTVアニメ『ホテ…

悲喜のグラデーションが生む絶妙な塩梅

TVアニメ「ホテル・インヒューマンズ」第2期本PV|2026年10月4日より放送開始!

 TVアニメ『ホテル・インヒューマンズ』の設定から、映画『ジョン・ウィック』(2014年)を思い出す人は多いだろう。同作には「コンチネンタル・ホテル」という殺し屋専用のホテルが登場する。殺し屋のあらゆる要求を受け入れるが、その代わりにホテル内での暴力行為は一切厳禁、違反者には死あるのみ。非常に魅力的な舞台である。ただし、同作は主人公のジョン・ウィックという規格外の人間災害の大暴走を描く方向にシフトチェンジ。ホテル内で暴力行為が発生し、遂には世界中の殺し屋VSジョン・ウィックという殺し屋大戦争が描かれた。

 対して本作『ホテル・インヒューマンズ』は、あくまで殺し屋たちのヒューマンドラマである。この点が明確に『ジョン・ウィック』と本作を差別化に成功している。

 本作は、いわば殺し屋版の人間交差点だ。主役はホテルのコンシェルジュの星生朗(CV.小林裕介)と灰咲沙羅(CV.白浜灯奈乃)だが、各話の主人公は「客」に当たる殺し屋たちである。そして殺し屋たちは人こそ殺すけれど、一方で良い部分もある人間として描かれる。妹思いであったり、妻を愛していたり、善性を強調する部分が多い。また、彼らもそれぞれに現実的な苦悩や葛藤を抱えている。職業こそ特殊だが、殺し屋たちの内面は一般人と変わりがない。とは言え殺人は殺人である。殺し屋たちは命の危険と隣り合わせで、往々にして結末は悲しい。実際、アニメ第1期では、主に殺し屋たちの悲劇が描かれた。愛するものを失ってしまう、愛する者を残して逝ってしまう。ある意味で「殺し屋もの」の定番ともいえる物語だ。

 しかし第1期中盤あたりから、徐々に物語は独自色を帯び始める。「悲しみ」のグラデーションが豊かになっていくのだ。特に終盤の全4話分を使った長編「アナザー・スカイ」は、女性殺し屋2人の真っ当なバディものであり、決着はホロ苦さをしっかり描きつつ、ハッピーエンドでもある。この塩梅は絶妙だ。

第2期第14話「ピアノ・レッスン」で際立った本作の真骨頂

 そして、続く第2期第14、15話の「ピアノ・レッスン」である。これは高校生の殺し屋の物語だ。彼はターゲットに近づくため、標的の息子に目をつける。彼と仲良くなることで、ターゲットに近づく作戦だ。しかし、共にピアノの練習をするうち、徐々に仲良くなってしまい……という、使命と友情のあいだで揺れる殺し屋ものの定番を描きつつ、「瑞々しい少年らの友情に『殺し』を入れたらもっとエモーショナルになるよね」という、見事な足し算の美学でもある。

 ところで、映画でもマンガでもアニメでも、「掴んだ」と思える瞬間がある。作品の個性や持ち味を、作り手が掴む瞬間だ。個人的には「アナザー・スカイ」と「ピアノ・レッスン」が、本作の「掴んだ」瞬間だったと思う。「殺し屋」という設定は非日常そのものだが、一方でいくらでも劇的にできる。生きるか死ぬかという、生物としての極限状況を活かしやすい題材だからだ。しかし、劇的なだけでは長く続かない。バッドエンドだけでも、ハッピーエンドだけでも、物語の豊かさは失われる。「喜び」も「悲しみ」も、本来はグラデーションが豊かなものだ。本作はそのグラデーションを巧みに操ることで、作品のとしての個性をばっちり掴んでいる。

 「殺し屋」という生きるか死ぬかの世界を題材にしながら、しかしバッドともグッドとも取れる場所に物語が落ち着く。この感覚が本作の最大の個性であると思う。第2期ではこのストーリーの豊かさがさらに強まる。物語に翻弄されつつ、心地よい余韻に浸れる。「殺し屋」というアクション映画的な題材を扱っているが、人間ドラマ/群像劇として、楽しめる1本だ。

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■放送情報
TVアニメ『ホテル・インヒューマンズ』第2期
テレ東系列ほかにて、毎週日曜23:45〜放送
各配信サイトにて配信中
キャスト:小林裕介(星生朗役)、白浜灯奈乃(灰咲沙羅役)、羊宮妃那(桐原シバ役)
原作:田島青『ホテル・インヒューマンズ』(小学館『サンデーうぇぶり』連載)
監督:アミノテツロ
シリーズ構成:米村正二
キャラクターデザイン:藤崎真吾
プロップデザイン:きむらひでふみ
美術監督:海野よしみ
美術設定:長澤順子
色彩設計:村口冬仁
撮影監督:貞松寿幸
編集:今井大介
音響監督・整音:山田陽
音楽:小春(チャラン・ポ・ランタン)
音楽制作:テレビ東京ミュージック
アニメーション制作:ブリッジ/アイル
OPテーマ:GAN(岩田剛典)「螺旋」
EDテーマ:ファントムシータ「スイートピー」
©田島青/小学館/ホテル・インヒューマンズ製作委員会
公式サイト:https://hotel-inhumans.com
公式X(旧Twitter):@HIH_PR

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