『ブラッサム』“梅”松本穂香をめぐる“結婚の自由” “珠”石橋静河が女性の生き様を照らす

高等女学校を卒業した珠(石橋静河)が、尋常小学校の代用教員に。NHK連続テレビ小説『ブラッサム』第11回では、初めて教壇に立つ珠の姿が描かれた。
珠が受け持つことになったのは2年2組。学校では学力別に学級が分けられており、2組の児童は、野良仕事や家の手伝いもあるため、教師たちから期待されていない。教頭は適当に教えればいいと告げ、同僚の教師も、半分遊びに来ているようなものだと話す。子ども自身が「“どうせ”2組」と自分たちを卑下するところに、こうした扱いの影響がうかがえた。

珠は、苦手ならゆっくり勉強すればいいと声をかける。遅刻した児童が捕まえていたカタツムリを例にすると、教室に笑いが生まれた。幼いきょうだいを世話し、物語を読み聞かせてきた珠にとって、子どもと話すことは日常の一部だったのだろう。女学校を出たばかりの親しみやすさもあり、子どもの興味や関心に合わせて話す姿が自然に映る。
ただ、授業を進めるとなれば別の難しさも。児童の一人、花田次郎(渋谷そらじ)には、指を使った引き算の説明も思うように伝わらない。それでも、漢字が苦手な彼のために教科書にふりがなを書き、ひらがなを大きな声で読めていることを褒めた。次郎に足りないものばかりを数えず、今できることから教えようとする姿勢に、珠の教師としての魅力がある。
放課後、今日解けないものは一生解けないと落ち込む次郎に、珠はできるまで待つと約束した。そこで彼が確かめるのは、間違えても笑われず、怒られないかということ。勉強嫌いという言葉の裏には、失敗をからかわれる怖さもあったのだろう。珠が初日から子どもの心をつかむのは、若くて親しみやすいからだけではない。わからなくても見放さず、教え方を探してくれる先生だからこそ、次郎も不安を打ち明けられるのだ。

こうした珠の丁寧な接し方は、帰り道で幼なじみの梅(松本穂香)と会う場面にも表れていた。家業の「岩田屋」の御用聞きに出ていた梅は、どこか浮かない様子。理由を尋ねても話すのをためらう彼女に、珠は自分を石ころだと思えばいいと、その場に座った。珠が黙って聞いてくれることで、梅も胸の内を話し始める。
梅を悩ませていたのは、向かいの乾物屋の徳一(井上拓哉)に縁談を祝われたことだった。いつも軽口を叩き合う彼とも、嫁いだらこれまでのようには会えなくなる。結婚に憧れていた梅にとって、思いがけない寂しさだったのではないか。

女学校で学び、教師として働き始めた珠に対して、家業を手伝い、父・幸三(八嶋智人)が決めた相手に嫁ごうとしている梅。二人の暮らしを描くことで、本作は珠一人の経験だけでは捉えきれない、同じ時代の女性の生き方にも目を向ける。梅は結婚を望んでおり、縁談にも感謝していた。それでも、好きな人と結ばれる自由恋愛に憧れる気持ちはあるのだ。
徳一と軽口を叩き合う場面では、松本穂香が演じる梅の親しみやすさが印象に残った。今回は、その梅が珠の前で涙をこぼす。いつもの明るいやりとりを見てきたからこそ、結婚を控えた寂しさが胸に迫る。珠には自由恋愛で結婚してほしいという言葉には、幼なじみへの思いと、自分もそうできたらという願いがにじんでいた。
珠自身も、父が持ってきた縁談を受け入れ、わずか数日で婚家を飛び出した経験を持つ。今度は自分が好きになった相手と結ばれるのか。出会いの春。教師としての新生活とともに、珠の恋の行方も気になる第11回だった。
■放送情報
2026年度後期 連続テレビ小説『ブラッサム』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜から金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:石橋静河、加賀まりこ、松たか子、国仲涼子、渡部篤郎ほか
作:櫻井剛、小松與志子
主題歌:YOASOBI
制作統括:村山峻平、櫻井壮一
プロデューサー:大野陽平
演出:盆子原誠、中泉慧、佐藤玲衣、田中陽児、小林直毅、野田雄介
写真提供=NHK




















