宇野維正の映画興行分析
賛否が激しく分かれる『ディスクロージャー・デイ』 スピルバーグ久々のスマッシュヒットに

10月第1週の動員ランキングは、2010年代の日本映画界を彗星のように駆け抜けた山戸結希監督の、実に7年ぶりとなる長編映画監督作、川口春奈主演の『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』が、3日間で動員29万2000人、興収4億4100万円をあげて初登場1位となった。今年に入って東映配給作品が動員ランキング1位になるのは初、そして『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』を超えてオープニング興収でも東映配給作品では今年最高の成績とトピックはいくつもあるのだが、本作の興行について最も注目すべきは公開日の金曜よりも翌日の土曜、土曜よりも翌日の日曜と、週末の3日間においても尻上がりに客足が伸びていること。つまり、若年層の観客の口コミやTikTokでの反響の大きさもあって、早くもロングヒットの兆しがある。
というわけで、『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』の興行についてはまた別の機会にしっかり分析することにして、来週以降ランキングの下降幅が大きそうな、初登場2位のスティーヴン・スピルバーグ監督の新作『ディスクロージャー・デイ』をここでは優先して取り上げたい。
映画サービスデーの10月1日(木)に公開された『ディスクロージャー・デイ』の公開から4日間の動員は23万4000人、興収は3億6500万円(週末3日間の動員は17万2000人、興収は2億7800万円)。往年のスピルバーグ作品興行の黄金期の記憶がある世代としては物足りない数字だが、それでも監督作で興収10億円以上が見込める滑り出しとなったのは2018年公開の『レディ・プレイヤー1』以来、実に8年ぶり、そして3作ぶり。その『レディ・プレイヤー1』の最終興収は25億5000万、オープニング3日間の興収は4億7400万円だったので、今回はそこまでの勢いはないものの、日本でのスピルバーグ作品興行、しかもシリーズ作品ではないスタンドアローン作品としては、久々のスマッシュヒットと言っていいだろう。
前回ヒットしたスピルバーグ監督作品が『レディ・プレイヤー1』であることからもわかるように、やはり日本では今なおスピルバーグといえばSF大作というイメージが根強い。もっとも、同じ地球外生命体を題材にしている作品ということで『未知との遭遇』や『E.T.』のような作品を期待していた人も多いのか、あるいはスピルバーグ作品初心者も劇場に足を運んでいるのか(今年に入って実写洋画が継続的にヒットしていることも今回のヒットにおいて見逃せない背景だろう)、いずれにしても観客の賛否が激しく分かれているのが今回の『ディスクロージャー・デイ』のリアクションの特徴だ。個人的には「賛」どころか「大絶賛」の立場なのだが、それがどんなに「否」であったとしても、スピルバーグ映画で育ってきた世代の映画ファンとしてはスピルバーグ作品が話題になっているこの状況が嬉しくて仕方がない。
■公開情報
『ディスクロージャー・デイ』
全国公開中
出演:エミリー・ブラント、ジョシュ・オコナー、コリン・ファース、イヴ・ヒューソン、コールマン・ドミンゴ
監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:デヴィッド・コープ
原案:スティーヴン・スピルバーグ
製作:クリスティ・マコスコ・クリーガー、スティーヴン・スピルバーグ
製作総指揮:アダム・ソムナー、クリス・ブリガム
配給:東宝東和
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公式サイト:https://disclosureday.jp
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