石橋静河、『ブラッサム』で刻む新たな一歩 宇野千代から受け取った“自分で選ぶ”生き方

宇野千代から学んだ「最高です!」の精神

ーー『ブラッサム』というタイトルには、自分自身を肯定して奮い立たせる意味も込められているそうですが、石橋さんが自分を奮い立たせるときに大事にしている言葉はありますか?
石橋:千代さんは数々のポジティブな言葉を残していますが、それが生み出された瞬間は、実はどん底にいる状況だったり、厳しい目を向けられている時期だったりして。そうした局面にこそ、明るさを持って生きるというのが千代さんの素敵なところだと思います。私自身、この半年間撮影をしてきて、日々さまざまな感情を表現しなければならないため、本当に苦しい気持ちになることもあります。そうした場面でも、千代さんが毎日「ご気分はいかがですか?」と聞かれて「最高です!」と答えていたという話を思い出します。骨折をして入院している状況でさえ、そうおっしゃっていたそうです。自らを「最高です」と言える状態に引き上げていく精神力は本当にすごいことだと思い、私もチャレンジしてみました。調子が良い日は自然と出てくるのですが、やはり疲れていたり落ち込んだりしている状況ではなかなか言えないんですよね。でも、疲労困憊している状況であえて「最高です」と言うことには、とても深い理由があると感じていて。いつでもその状態を「自分で選べばいい」ということを、千代さんから学びました。
ーー朝ドラの主人公という大役を務める中で、やりがいやプレッシャーを感じることはありますか?
石橋:大変だなと思うのは、やはり圧倒的な撮影量ですね。これまでの主演の方々は本当にすごいなと思いながら取り組んでいます。次から次へといろんなシーンを撮影し、それが約1年間続くというのは、ある種のプレッシャーでもあり、最初は圧倒されてしまいました。でも、次々とシーンを重ねていくことは、この環境だからこそ学べることでもありますし、日々自分がたくましくなっていっている実感があります。あと、モチベーションを上げたいときは、千代さんのエッセイを読んでいます。ご本人が一番楽しんでいる姿を見ることで、こちらが勇気をもらえて、「私ももっといける、もっと頑張れる」と思えるんです。

ーーこれまでの撮影で、特に印象的だったシーンを教えてください。
石橋:家族のシーンは、とても美しい瞬間がたくさんありました。継母・リョウさん、父・清治さん、そしてきょうだいとのシーンでも、皆さんが素晴らしいお芝居をされて、それに私が心をグラグラと動かされる瞬間がたくさんありました。
ーー渡部篤郎さん演じる父・清治は大変強烈なキャラクターですが、渡部さんとのお芝居はいかがでしたか?
石橋:千代さんのエッセイにも書かれているような、本当に強烈なお父様です。でも、珠から見たお父さんというのは、もちろん厳しいし怖い部分もあるけれど、そこにお父さんの孤独だったり、悲しそうな後ろ姿を見たりして、「もっと知りたい」「何を考えているのか教えてほしい」と理解しようとする思いが強くあると感じて脚本を読んでいました。渡部さんはすごく優しい目をされているので、ただただ「怖いお父さん」として拒絶するのではなく、もっとお父さんと分かり合いたいという気持ちに自然とさせてくださいます。現場での渡部さんは本当に優しくて、劇中とは全然違う素敵な方です。

ーー最後に、約半年間撮影をされてきて、今の心境やご自身の変化について教えてください。
石橋:私が演じ始めた頃の珠はまだ10代の女学生で、厳しいお父さんがいて、家の中の空気が張り詰めていて……自分が何をしたいか分からない状態から、少しずつ「自分はこうしたい」というものがゆっくりゆっくり立ち上がっていく。それを演じているのがとても楽しいです。何者かになって、周りからのプレッシャーで崩れて、でもそこからさらに強くなって立ち上がる。何度も壊れて作って、を繰り返している感覚があります。私自身も「もっと変わりたい」「もっと面白い表現がしたい」と常に思っていて、壁にぶつかる瞬間があるんですが、それも成長している証拠だと思えるようになりました。苦しいこともありますが、壁に当たっている瞬間を「次また成長する機会なんだ」と思えると楽しいですし、それは一つの喜びでもあります。
■放送情報
連続テレビ小説『ブラッサム』
NHK総合にて、9月28日(月)スタート 毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:石橋静河、加賀まりこ、松たか子、国仲涼子、渡部篤郎ほか
作:櫻井剛、小松與志子
主題歌:YOASOBI
制作統括:村山峻平、櫻井壮一
プロデューサー:大野陽平
演出:盆子原誠、中泉慧、佐藤玲衣、田中陽児、小林直毅、野田雄介
写真提供=NHK
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