『風、薫る』“りん”見上愛と“直美”上坂樹里が見つけた女性たちの道 シマケンの新事実も

 胃がんの手術を受けたシマケン(佐野晶哉)の看護を、りん(見上愛)と直美(上坂樹里)が担うことになったNHK連続テレビ小説『風、薫る』第124話。かつて思いを寄せ合いながらも別々の道を選んだりんとシマケンが、今度は看護婦と患者として向き合う。一方で、セツ(村上穂乃佳)の「看護婦になりたい」という一言から、りんと直美にも新たな目標が生まれる。

 覚悟を決めたりんは、早速シマケンの状態を確認する。手術後は食が細くなり、一度に食べられる量も減っていた。そこでりんは、体力を取り戻すため、栄養のあるものを少量ずつ何回かに分けて食べてもらうよう計画を立てる。患者の状態に合わせ、どうすれば食べられるのかを考える。シマケンとの過去があっても、目の前にいるのはまず看護を必要としている患者なのだ。

 そんなシマケンが気にしているのは、自分の体よりも文史朗(蒼井旬)のことだった。これまで一人で支えてきただけに、自分がこのまま倒れていては文史朗に負担をかけてしまう。「せめて学校を出るまでは」というシマケンの言葉からも、浜松で過ごす中で文史朗の存在がどれだけ大きくなっていたのかが伝わってくる。

 直美はシマケンに、りんへ看護を任せてもいいのかと尋ねる。少し間を置いた後、シマケンはうなずいた。直美がその場を離れると、残されたのはりんとシマケンの2人。りんが作ったおかゆを食べながら、シマケンはいつものようにうんちくを並べるが、「よく噛んで」とりんにたしなめられる。久しぶりに2人きりになったにもかかわらず、どこか昔の延長のようなやり取りなのがいい。

 その夜、文史朗はりんに「僕のせいなんです」と切り出す。父親が借金を作って逃げ、そのためにシマケンが浜松へやってきたのだという。これまで詳しく語られてこなかった、シマケンと文史朗が一緒に暮らすことになった経緯が、ここで少しずつ明らかになっていく。

 一方、恵風看護婦会ではセツが「看護婦になりたい」と口にする。かつては資格を持たないまま派出看護に携わっていたセツだが、今度は正式に看護を学びたいという。「字も書けない自分なんか」と卑下するセツに、ツヤ(東野絢香)は「一緒に看護婦になりたいです」と声をかける。

 この言葉を聞いたりんと直美が思いついたのが、看護婦養成所を作ることだった。こうして恵風派出看護婦養成所が誕生する。資格を持たないまま働く人たちを排除するのではなく、学べる場所を作り、正式に看護婦として働ける道を用意する。第114話で、看護を守ることと、行き場のない女性たちの生活を守ることの間で頭を抱えていた2人が、ようやくたどり着いた一つの答えでもある。

 りんと直美もまた、看護婦という仕事と出会ったことで人生を切り開いてきた。今度はそんな2人が、自分たちと同じように働く場所を求める女性たちへ、看護婦として生きるための道をつくる側になる。それはここまで歩んできた2人だからこそたどり着けた答えにも思える。

 恵風派出看護婦養成所は、看護婦を増やすためだけの場所ではない。身寄りがない、貧しい、学がない。そうした事情から働く道を狭められてきた女性たちにとって、この職は自分の力で生きていくための選択肢にもなる。セツの「看護婦になりたい」という願いが、りんと直美に新たな道を思いつかせたのだ。

 それから3カ月。りんと直美のもとに、シマケンから「来てほしい」と連絡が入る。あれから体調はどうなったのか。そして、わざわざ2人を呼んだ理由とは何なのか。どこか嫌な予感がしないでもないが、恵風派出看護婦養成所が動き始める一方で、シマケンをめぐる物語も次の展開を迎えそうだ。

■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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