『君の好きは無敵』佐野勇斗が“王子様”から“野獣”へ 振り幅で際立つ“好き”の強さ
最終プレゼンでは、業界2位のピースプラスが、300億円を投じてシニカルモルコのアミューズメント施設を世界各地に展開するプランを披露。対する瀬尾は、「我々は、モルコの権利独占を放棄します」と宣言する。それは、補完計画で覚えた「くださる」「たまわる」「いたしかねる」という3つの敬語をもとに、杏奈が練り上げた秘策だった。
デザイン瀬尾が提案したのは、モルコを必要とする人々に開放する「みんなのモルコ財産化」。自分たちは権利者ではなく“保護者代表”となり、誰かを幸せにするための利用は無料、ビジネス利用ではモルコに“お給料”を支払ってもらう。その収益もすべてモルコの成長に使い、みんなで守り育てていく。それが、デザイン瀬尾の答えだった。
会場が拍手喝采に包まれる中、川崎だけは「そんなきれい事は信用できない」と反対する。その矛先が向けられたのは、瀬尾ではなく杏奈だった。
川崎は、杏奈がキッチン迫田を成功させる一方で夫婦を離婚に追いやったと暴露し、彼女には「数字とお金しかない」「キャラクターを愛する心なんてない」と断じる。確かに、当時の杏奈は売り上げを伸ばすことだけを成功と捉え、自分の物差しでキッチン迫田を変えてしまった。店は繁盛したものの、勉が本当に大切にしていたのは、夫婦で一緒に店を切り盛りする日々そのもの。その形を失い、離婚に至った以上、数字の上での成功が2人にとっての幸せだったとは言えない。
だが、杏奈はその過ちを反省し、チュエラと瀬尾に出会ったことで、数字では測れない「好き」の価値を知った。何を成功とするかは外側の人間が決めるものではなく、本人が大切にする形や思いを守ることもコンサルの仕事なのだ。それでも、過去の失敗が事実である以上、生放送で杏奈の信用を失墜させるには十分だった。
大三島が見抜いていた瀬尾の“最大の弱点”。それは、ほかでもない杏奈だった。ここまでどれだけ挑発されても必死に耐えていた瀬尾だが、杏奈を傷つけられた瞬間、「おコンを傷つけるやつは絶対に許さない!」と怒りを爆発させる。
これも、大三島の筋書きどおりなのだろう。おそらく彼は最初からモルコを手放すつもりなどなく、川崎に権利を勝ち取らせ、最終的には「最もモルコを愛するMERRYが守る」という結論に着地させるつもりだった。その過程でデザイン瀬尾まで蹴落とせれば一石二鳥。会社の危機さえも復活のショーに変える大三島の不敵さを、本郷奏多が悪役然とした芝居で際立たせている。
王子様の仮面は、あっけなく剥がれてしまった。それでも、自分のためではなく、傷つけられた杏奈のために怒れる瀬尾は、やっぱり王子様なのかもしれない。果たして彼は、大三島の罠から“お姫様”を救い出せるのだろうか。
■放送情報
火曜ドラマ『君の好きは無敵』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜22:57放送
出演:松本若菜、佐野勇斗、小野花梨、金田哲(はんにゃ.)、中村隼人、白本彩奈、島崎和歌子、藤井隆
脚本:宮本武史
演出:竹村謙太郎、府川亮介、渡部篤史、尾本克宏ほか
主題歌:星野源
プロデューサー:岩崎愛奈
協力プロデューサー:小髙夏実
編成:吉藤芽衣
取材協力:株式会社サンリオ
製作:TBSスパークル、TBS
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/kiminosukihamuteki_tbs/
公式X(旧Twitter):@kiminosuki_tbs