上坂樹里、『風、薫る』“直美”として生きた1年を振り返る 「この役から大きな宝物を得た」
見上愛とは「一緒にいるのが当たり前に」
――一方で、チュウ(丸山忠蔵/若林時英)との関係性について気になっている視聴者も多いようです。
上坂:直美にとってチュウは、不思議な存在で、家族でも友人でもないんですけど、すごくフラットで気を遣わないでいられる関係性です。吾郎さんと直美が告白するシーンの撮影のとき、その会話を聞いているチュウのリアクションを最後に別撮りしていたんです。モニターで見ていたら、誰よりも真剣に直美と吾郎の結婚を静かに喜んでいる姿があって。その表情を見たときに、「直美とチュウの関係性も、すごく素敵なものだな」と改めて思いました。
――主人公のりんを演じる見上愛さんとは、撮影を重ねてより絆が深まったと感じる部分はありますか?
上坂:本当に一緒にいると居心地が良すぎて、同じ空気感にいることが当たり前になっています。スタジオの前室の机がいつも2つ並んでいて、りんと直美の席を作ってくださっているんですけど、どちらかが早く終わったりしていないときは、机が一つ片付けられるんです。そのときに、急に孤独を感じて寂しくなるくらい、一緒にいるのが当たり前の距離感になりました。
ーーそんな距離感の中で、発見した新たな一面はありますか?
上坂:見上さんは撮影の最初の頃からすごくしっかりされていて、周りをよく見てみんなを引っ張ってくださる印象は変わらないです。ただ、意外とお茶目だったり、実は怖がりな一面もあるんです。スタジオに入るとき、マイクのスイッチを入れると音が鳴る仕組みなんですけど、ある日少し奇妙な音が鳴って。それに対して私が笑ってしまうくらい見上さんが怖がって抱きついてきて(笑)。普段しっかりされているのにかわいいなと思いました。
――1年間「大家直美」という役と向き合ってきて、上坂さんご自身に変化はありましたか?
上坂:私はもともと、役を作っていく上で最初に「自分」と比較をしていました。でも今回は、最初は自分目線で台本を読んでいたのが、不思議と途中から「直美として」台本を読み込めるようになったのが大きく変わったことだなと思っています。お芝居で「こうしなきゃ」と考えるよりも、直美として内から出てくる何かでお芝居ができるようになったのは初めての感覚でした。SNSの投稿などでも、私のことを「樹里ちゃん」ではなく「直美さん」と呼んでコメントしてくださる方が増えて、直美として認識してくれているんだなと感じてすごくうれしいです。これだけ一つの役を長い間演じるのは初めてでしたが、それ以上に、違う人の人生を自分の体が一番感じて生きられたことが、この役から得た大きな宝物だなと思っています。
■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK