『ガス人間』小栗旬のバディ・芋生悠が大活躍 『ばけばけ』『極悪女王』を経て真価を発揮

 あるいは、同じくNetflixシリーズでいえば、『極悪女王』(2024年)のマキ上田役の俳優として印象に残っていた方も少なくないはず。ご存知のとおり、こちらも日本発の世界配信作品。しかし、物語序盤の盛り上がりに貢献して以降、役柄的にその後の登場がほとんどなかった。その演技に魅せられている人間としては残念だったが、作品を視聴しはじめたばかりのオーディエンスを『極悪女王』の世界に導いたひとりは紛れもなく彼女で、むしろそのポジションをまっとうしていたことこそ評すべきだろう。

 そんな芋生が『ガス人間』では人一倍、走り回っている。主演俳優にして本作の座長である小栗とも終始、渡り合ってみせている。身体能力も高いらしく、その動きは俊敏で、一つひとつに鋭い強さがある。クライマックスで彼女が繰り広げるアクションシーンを目にしてガッツポーズをしたのは、きっと私だけではないはずだ。本作の骨太でスリリングな展開に、芋生の存在が大いに貢献している。

 キャラクターの特性上、どうしても彼女の演技の豪快さや大胆さばかりが目立つ。しかしもちろん、本作において芋生が功績を残しているのはそういったところだけではない。

 オールブラックのクールな佇まいに際立つ眼光、荒くれ者たちをも圧する声──。『ガス人間』の作品世界における彼女の表現の一つひとつが、本作の持つ緊張感に強度を与えている。主演の小栗がこの作品を率いているのに対して、芋生は作品のクオリティを底上げしているといえるだろう。

 いまやNetflixシリーズは、真に力のある演技者たちが大いなる飛躍を遂げる場として機能している。芋生もまた、ここからさらなる進化をしていくのだろう。こうしたメジャー作品のみならず、インディペンデント映画シーンの優れた作家たちからも愛されている彼女は、作品と新たなオーディエンスの架け橋にもなってゆくはず。日本のエンターテインメントの可能性は、さらに拡がることとなるはずである。

■配信情報
Netflixシリーズ『ガス人間』
Netflixにて世界独占配信中
出演:小栗旬、蒼井優、広瀬すず、林遣都、UTA、芋生悠、伊島空、こばやし元樹、古館寛治、川瀬陽太、野村周平、中島歩、斉藤柚奈、柊木陽太、三河悠冴、松浦祐也、モーリー・ロバートソン、吉原光夫、三石琴乃、近藤芳正、和田光沙、髙嶋政宏、賀来賢人、森川葵、原日出子、中野英雄、夏川結衣、酒向芳、ピエール瀧、岡部たかし、青木崇高、竹野内豊
監督:片山慎三
脚本:ヨン・サンホ、リュ・ヨンジェ
原作:『ガス人間第一号』(監督:本多猪四郎/脚本:木村武)
エグゼクティブ・プロデューサー:ヨン・サンホ、市川南、大田圭二、臼井央、佐藤善宏(Netflix)
企画・プロデュース:馮年、呉良次
プロデューサー:小野田壮吉、ヤン・ユミン
企画:山内章弘
VFX:白組
VFXスーパーバイザー:髙橋正紀、新堀巧
企画・製作:東宝
共同企画・制作:WOWPOINT
制作プロダクション:TOHOスタジオ
配信:Netflix
作品ページ:https://www.netflix.com/title/81714240

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