『トイ・ストーリー5』佐野勇斗はなぜハマった? スマーティー・パンツ役が高評価の理由

 吹き替えで大切なのは、突き詰めて言えば、声を当てる俳優の顔がどれだけ消えるかでもある。『トイ・ストーリー5』のスマーティー・パンツには、声優初挑戦とは思えないほど作品世界に馴染みきった、佐野勇斗の声があった。

 7月3日に公開された『トイ・ストーリー5』は、初日に動員32万人、興行収入4.8億円を記録し、洋画アニメの初日成績として史上No.1に。7年ぶりの最新作への期待の高さを示した(※1)。

 1995年に誕生した『トイ・ストーリー』シリーズは、日本公開から30年。節目ごとに完結を思わせながらも続いてきた今作で描かれるのは、“デジタル”という現代的なテーマだ。8歳になったボニーのもとに届いた電子タブレット“リリーパッド”を前に、おもちゃたちは存在意義を揺さぶられる。

 その物語の鍵を握る新キャラクターが、M!LKの佐野勇斗演じるスマーティー・パンツだ。トイレトレーニング用のハイテクおもちゃであり、ハイテクおもちゃたち“テック・トリオ”を引っ張る明るさを持つ一方、持ち主に忘れられ、長い眠りについていた寂しさも抱えている。ジェシーとの出会いをきっかけに外の世界へ飛び出す彼は、“おもちゃ対デジタル”という今作の対立軸の、ちょうど狭間に立つ存在と言っていい。

「トイ・ストーリー5」本編映像|新たな仲間テック・トリオ登場!|7月3日(金)劇場公開!

 吹替版演出の鍛冶谷功が「シリーズ史上最もウザい?(でもかわいい)」と評した(※2)スマーティーには、ハイテンションな毒舌と、捨てられたおもちゃの哀愁を一体の中に同居させることが求められる。うるささが一線を越えれば観客の耳は疲れてしまうし、哀愁に寄りすぎればコメディリリーフとしての軽妙さが損なわれる。さらに、オリジナル版の声を務めるのは、その語り口そのものが芸として愛されてきたコナン・オブライエンだ。

 佐野は今回が声優初挑戦。スマーティー・パンツというキャラクターの難しさを考えても、最初の声優仕事としてはかなりハードルが高い。だが本編を観れば、“タレント吹き替え”として片づけられないことがすぐにわかる。

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 M!LKのメンバーとしてステージに立つ一方、俳優としては『くちびるに歌を』(2015年)でのデビュー以降、ドラマ『砂の塔〜知りすぎた隣人』(TBS系)で家族の中に複雑な思いを抱える少年を演じ、NHK連続テレビ小説『おむすび』では主人公の人生に寄り添う主要キャラの一人でもある四ツ木翔也役を務めるなど、映画やドラマで着実にキャリアを重ねてきた。さらに、7月期には主演ドラマ『君の好きは無敵』(TBS系)の放送も控えるなど、活躍の場を広げ続けている。

 そう考えると、スマーティー・パンツの“うるさいのにかわいい”という矛盾は、佐野がこれまで演じてきた役柄とどこか地続きにある。感情の輪郭を大きく描きながら、最後の一線で人物を嘘っぽくしない。そのバランス感覚が、スマーティー・パンツの造形にも生きているともいえる。

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