朝ドラが求めるヒロイン像に変化? 髙石あかり、見上愛、河合優実らが示す“新時代”

 そして、NHKドラマでの印象的な活躍も朝ドラヒロインを託されるきっかけになっているのは間違いない。髙石は夜ドラ『わたしの一番最悪なともだち』(2023年)で主人公・笠松ほたる(蒔田彩珠)の幼なじみ・鍵谷美晴の個性的なキャラクターを見事に体現し、蒔田とはコミカルな会話劇も披露。見上は大河ドラマ『光る君へ』(2024年)で演じた藤原道長(柄本佑)の娘・彰子役での演技がヒロインのオファーに繋がったという。

『風、薫る』写真提供=NHK

 『風、薫る』で見上とともにW主演を務める上坂樹里は『生理のおじさんとその娘』(2023年)で主人公の娘役として等身大の思い悩みを表現し、『巡るスワン』(2027年度前期)で主演ヒロインに抜擢された森田望智は『おかえりモネ』(2021年度前期)や『虎に翼』(2024年度前期)で演じたキャラクターの印象が強い。2人がそれぞれ高校時代と大人になった姿を演じた夜ドラ『いつか、無重力の宙で』(2025年)で見せた切実な芝居は、登場人物たちの夢や憧れが詰まった作品の純度を高める起点にもなった。2026年度後期の朝ドラ『ブラッサム』でヒロインのバトンを受け取る石橋静河も、NHKドラマには欠かせない存在。近年は『燕は戻ってこない』(2024年)で主演を務め、『リラの花咲くけものみち』(2025年)でも存在感を発揮している。

 現在、放送中の『風、薫る』の見上と上坂は朝ドラ自体は初めての出演で、キャスト陣にもフレッシュな顔ぶれが揃っている。2人が演じているのは、異なる境遇で生まれ育ちながらも、同じ看護の道へと進んでいくりんと直美。対照的なのにどこか似た部分もあるバディとして、絆を深めていくりんと直美の姿は、見上と上坂の成長とも重なっていく。着実にNHKドラマで経験を積み重ねてステップを踏み、満を持して朝ドラヒロインを演じる流れが定着しつつある。

(左から)宮藤官九郎、河合優実

 脚本家と主演ヒロインの親和性も、近年の朝ドラにおいては重要視されているポイントだろう。『ばけばけ』で脚本を務めたふじきみつ彦が描くおかしみのある現代風の会話劇に、髙石が違和感なく溶け込んだ姿も記憶に新しい。『巡るスワン』で脚本を務めるバカリズムと森田、『ブラッサム』で脚本を務める櫻井剛と石橋など、物語のトーンと役者の雰囲気が自然と一致するような組み合わせが多いのも特徴的だ。宮藤と河合がその系譜に連なることはいうまでもない。唯一無二の作家性を持つ脚本家と、その世界観に呼応するヒロインのタッグは、これからの朝ドラの定番になるかもしれない。

 『ほんのモキチ』で河合が演じるのは、“痛快ばあさん”として世間を賑わせた“猛女”としても知られている輝子。自由奔放な人生を歩んだ彼女をどのように演じるのか。宮藤がコメディテイストで描く壮絶な夫婦喧嘩も含めて、放送はまだ先ではあるものの、続報を楽しみに待ちたい。

■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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