『時すでにおスシ!?』が示した“大人の自立” ゆっくりと進み始めた“みなと”永作博美の恋

 一方、大江戸は元妻である澪との接し方を決めかねていた。ふと思う、別れたパートナーとの“ちょうどいい距離感”ってなんだろう? 血の繋がりがある親子と決定的に違うのは、夫婦はもともと他人同士だということ。別れてしまえば、子どもでもいない限り、特に2人を繋ぐものは何もない。そのことにほんのりと、寂しさというよりは虚しさを感じていたのが澪だった。

 お金がなく、2人で工夫して節約していた大江戸の修行時代。ようやく鮨職人と呼べるようになってからはお店を出すことを目標にお金を貯め、独立後は澪が会社を辞めて大将となった大江戸を支えた。そうやって20歳から40歳まで人生の苦楽を共にしてきた2人。大江戸がパワハラ疑惑でお店を閉めることになったとき、「自分の人生を歩みたい」と別れを切り出したのは澪自身だ。それにいまさら、大江戸とやり直したい気持ちがあるわけでもない。だけど、大江戸に捧げた私の20年間は一体何だったのかと思わずにはいられないのだろう。愛犬のホタテをたびたび大江戸に預けていたのは、彼女なりにその答えを見つけようとしていたのではないか。

 そんな澪から本音をぶつけられた大江戸はいてもたってもいられず、みなとにどうすべきかを相談する。だが、その答えをみなとは持っていない。あくまでも大江戸と澪の問題であり、これからの関係を決めていくのは2人自身なのだから。正面から相手に向き合うしかないとみなとに背中を押された大江戸は澪を呼び出し、「これからは一緒にブリになろう!」と告げる。

 一見するとふざけているとしか思えない台詞だが、それは大江戸なりに澪との向き合い方を考えに考え抜いて導き出した答えだった。2人は離婚し、他人同士に戻ってしまった。だが、決して夫婦として過ごした20年間が無駄になったわけではない。稚魚のワカシがひとっ飛びに成魚のブリになれるわけではなく、イナダ、ワラサとして海を泳ぐ過程で大きく、かつ引き締まった身になっていくように、2人で苦楽を共にした時間があったからこそ今があるのだ。

 澪は大江戸の店でお茶の仕入れを担当していたことが高じて、福岡で日本茶カフェをオープンするという。それだって、大江戸と出会ったからこそ開かれた道。思うように行かず、挫けそうになっていた澪だが、「澪なら最高で最強の身が締まって脂が乗ったブリになれる!」という大江戸らしい激励の言葉に背中を押され、笑顔で去っていった。

 こうして、それぞれ大切な人との一区切りを迎えたみなとと大江戸。次に向き合うべきは、自分の人生だ。これから先、何をして、誰と生きるのか。本人たちの気持ちは案外、周りの方が見えているものなのかもしれない。2人が一緒に笑い合う姿を見て、渚も何かを感じ取った様子。ここまでもどかしい距離を維持してきた2人だが、大江戸の「今度一緒に、水族館に行きませんか?」という誘いが大きく関係を進展させる予感がした。

■放送情報
火曜ドラマ『時すでにおスシ!?』
TBS系にて、毎週火曜22:00~22:57放送
出演:永作博美、松山ケンイチ、ファーストサマーウイカ、中沢元紀、山時聡真、杏花、平井まさあき(男性ブランコ)、後藤淳平(ジャルジャル)、猫背椿、関根勤、有働由美子、佐野史郎
監督:坪井敏雄、岡本伸吾、金子文紀
脚本:兵藤るり
編成プロデュース:松本友香
プロデュース:益田千愛、鈴木早苗
主題歌:Creepy Nuts「Fright」(Sony Music Labels Inc.)
音楽:青木沙也果
製作著作:TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/tokisushi_tbs/
公式X(旧Twitter):@tokisushi_tbs
公式Instagram:tokisushi_tbs
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