『リボーン』『リブート』『ブラッシュアップライフ』 実写ドラマで“転生もの”急増の背景とは
バカリズム作品が象徴する物語の広がり
近年のドラマにも色濃く反映されているそうした感覚を象徴する作家として、成馬氏はバカリズムの名を挙げる。
「たとえばバカリズムさんは、ゲーム文化やライトノベル的な発想を一般向けに翻訳している作家だと思います。『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)はまさにそうで、同じ人生でも何通りもの選択肢があるというゲーム的な発想で作られていた。最近だと、“人生何周目?”みたいな言い回しが日常的に使われるくらい、この感覚は一般化しています。『リボーン』もそうですが、現代を舞台にした転生ものは“生まれ変わる”というより、“同じ時間を何度もやり直している”という感覚の方がしっくりくる。今世・来世といった言葉も含めて、どこか仏教的な世界観ともつながっていると思います。一方、『ホットスポット』(日本テレビ系)は、ある街に宇宙人や未来人が集まってくるという構造はライトノベルの『涼宮ハルヒの憂鬱』を彷彿とさせます。2000年代にオタク向け作品で多用されていたアイデアが、地上波のドラマで成立している現在の状況を見ていると、この20年くらいでオタク的な感覚が一般化したんだと感じます。そういうゲーム的発想や同じ時間を繰り返す感覚は、これからの実写ドラマでもさらに広がっていくと思います」
時事ネタをドラマで扱う難しさも影響?
続けて成馬氏は、「SFやファンタジーに近い題材は、今後ますます増えていくと思う」と語る。その背景には、現在のテレビドラマを取り巻く制作環境の変化があるという。
「むしろ今は、リアルな現代を描くことのほうが難しくなっているのかもしれません。少し前に『太田光のテレビの向こうで』(BSフジ)で、爆笑問題の太田光さんと宮藤官九郎さんが対談していたのですが、宮藤さんが“時事ネタをドラマで扱うのがすごく難しくなっている”と話していたんです。情報の流れが速すぎるので、ドラマで時事性を扱おうとしても、放送される頃にはもう古くなってしまう。また以前のドラマは終盤になるとスケジュールがギリギリで、書いた脚本をすぐに映像化することが多かった。だからこそ現実の空気感が作品に反映されるライブ的な面白さもあったのですが、今はスケジュール管理がしっかりしている分、時事ネタをドラマに反映させることが難しくなっている。その意味で興味深かったのは、新春に放送された『不適切にもほどがある!』(TBS系)のスペシャルドラマですね。作品内で日本初の女性総理大臣の誕生を描いたら、現実とリンクしてしまった。その意味で予言的な作品とも言えるのですが、ドラマでは、女性総理が誕生するのは2036年という10年後だったため、むしろ現実に追い抜かれてしまったという印象の方が大きい。今は現実の方がめちゃくちゃでなんでもありなので、フィクションで現代を切り取ること自体が、難しくなっているのかもしれません」
働き方改革など労働環境の変化はドラマの制作現場にも影響を与えており、かつてのように放送と並走しながら脚本を書き換える制作スタイルも難しくなっているようだ。その中で、転生ものは実写ドラマにとって非常に扱いやすいフォーマットになっていると分析する。
「だからこそ、『リボーン』のように10〜20年前へ戻って、平成カルチャーを楽しむ構造がハマりやすいんですよね。当時の流行や空気感を、“あるあるネタ”として視聴者と共有できる。転生ものって、ノスタルジーとエンタメを両立しやすいフォーマットなんです」
転生やループを扱った物語は、いまやライトノベルやアニメだけのものではなく、地上波ドラマにおいても重要な物語フォーマットになりつつある。平成ノスタルジー、ゲーム文化、そして“人生をやり直したい”という現代人の感覚。そうした時代の空気を映し出す装置として、ドラマにおける転生ものは今後さらに存在感を強めていきそうだ。
■放送情報
『リボーン ~最後のヒーロー~』
テレビ朝日系にて、毎週火曜21:00〜21:54放送
出演:高橋一生、中村アン、鈴鹿央士、横田真悠、小日向文世、市村正親
脚本:橋本裕志
演出:藤田明二、麻生学、二宮崇
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:山形亮介(テレビ朝日)、中込卓也 (テレビ朝日)、河野美里 (ホリプロ)、奥村麻美子(ホリプロ)
音楽:佐藤航
主題歌:宮本浩次「I love 人生!」(UNIVERSAL SIGMA)
制作協力:ホリプロ
制作:テレビ朝日
©︎テレビ朝日
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