実写版『SAKAMOTO DAYS』が証明した目黒蓮の真価 弛まぬ努力で新境地を切り拓く

 現在大ヒット公開中の実写映画『SAKAMOTO DAYS』。『週刊少年ジャンプ』で連載中の大人気コミックを原作とする本作は、かつて裏社会で恐れられた伝説の殺し屋・坂本太郎が主人公のアクションコメディだ。愛する女性への一目惚れを機にあっさりと引退し、結婚してふくよかな体型へと変貌。現在は個人商店を営む彼が、愛する家族と平穏な日常を守るため、次々と襲い来る刺客たちに立ち向かう。

 この主人公・坂本太郎役に抜擢されたのが、Snow Manの目黒蓮である。これまで、社会現象を巻き起こしたドラマ『silent』(フジテレビ系)や映画『わたしの幸せな結婚』など、端正なルックスと憂いを帯びた色気で数々のキャラクターを魅力的に演じてきた彼が、推定140キロの巨体を纏って大暴れする。制作発表時、SNS上で驚きの声が駆け巡ったのも無理はない。

 だが、漫画原作の実写化というものは、常にファンからの厳しい目に晒される。本作も例外ではない。特に本作は、これまで数々の漫画実写化を手がけてきた福田雄一が監督。福田監督ならではの独特なコメディ要素は、時にキャラクターの“キャラ崩壊”的な描写を伴うため、熱狂的な原作ファンから厳しい意見や眼差しが向けられることも少なくない。実際、今回のスクリーンでも、目黒演じる坂本は、原作の坂本なら絶対にしないような振り切った変顔を見せたり、裏返ったような声色を出したりしている。虎丸尚が見たら「こんなこと、絶対に坂本はしない!」と斧付き散弾銃を振り回す事態に発展していたことだろう。

 しかし、それはあくまで監督の持つ強いカラーであり、役者として求められた演出の枠組みだ。注目すべきは、その特異な枠組みの中で、目黒がいかに「誠実さ」を持ってキャラクターの核に向き合っていたかである。

 実は目黒自身、原作コミックスが1、2巻発売された当初から『SAKAMOTO DAYS』ファンであることを公言している。彼の中にはすでに「坂本太郎」というキャラクターを理解していた。それが如実に表れているのが、ふとした瞬間の仕草の再現度である。例えば、妻となる葵との出会いのシーンで見せる、コンビニのカゴの持ち方。原作ファンでなければ分からないような何気ないコマのディテールを、彼は丁寧にすくい上げ、実写の坂本として見事に体現してみせた。監督の意向に応えてコメディリリーフに徹する瞬間はありつつも、舞台挨拶やインタビューで語る姿勢からは、その根底に原作への深いリスペクトと彼なりの真っ直ぐなキャラクターへの愛情が感じられる。

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