『タツキ先生は甘すぎる!』第5話はシリアスな展開に 描かれた“SNSいじめ”の生々しさ

 そんな智紀の元担任の先生は、まさかのしずくだった。親の離婚で苗字が変わっていたことから最初は気づかなかったが、智紀が教え子だったことを知ったしずくは愕然とする。自分のクラスにいじめが存在していたことを全くもって知らなかったからだ。実際、SNSの普及によって、いじめの不可視性が増していると言われている。今回の例と同様に、もしSNS上で子どもたちの間にトラブルが起きていても、現実で何事もなかったかのように振舞われたら、大人が気づくのは至難の業だ。

【第五話本編映像🎮】土曜ドラマ「タツキ先生は甘すぎる!」主演:町田啓太🌹5月9日(土)よる9時🚀

 ましてや、智紀は学校にいじめの件を報告しないまま転校していた。ゆえに、生徒たちの中でいじめはすでになかったことになっており、中心人物の男子生徒は陸上部で活躍し、スポーツ推薦で高校に進学することも決まっている。一方、智紀は新しい学校にも馴染めず、自室に引きこもるように。皮肉だが、いじめの被害者は一生癒えぬ心の傷を負い、加害者はのうのうと幸せな社会生活を送るという構図は現実世界でも頻繁に見られる。その理不尽に耐えられなかった智紀は転校からちょうど1年、本人にとっては学校を追い出された“Xデー”に「祭り」と称して何かを起こそうとしている様子だった。

 タツキは智紀がいつもプレイしているPCゲーム上でコンタクトを取り、その内容を聞き出そうとする。しかし、今まで助けてくれなかった大人への信頼をすでに失っている智紀はタツキにも心を許そうとせず、自分のアカウントごと消してしまう。ゲームが「命の浮き輪」と呼ばれていることを、本作で初めて知った人が多いのではないだろうか。学校に行けず、孤独や不安を抱える子どもにとってゲームは心の拠り所になる。いじめで深く傷ついた智紀もゲームをすることで、どうにかここまで命を繋いでこれたのだろう。

 そんな智紀がやり込んだゲームのアカウントを消すというのは相当なこと。胸騒ぎがしたタツキはXデーに智紀の後を追う。すると工事中のビルに入っていき、屋上へと上がっていく智紀。その日、彼は自ら命を絶ち、あらかじめ預けていたいじめの証拠を友達にSNSで晒してもらう計画を立てていた。近年、急増するSNSいじめだが、その一方でいじめの復讐にSNSが用いられるケースも増えている。いじめを法律で裁けないのであれば、自らの手で加害者に社会的な死を与えたいと思う気持ちを一概に否定することはできない。だが、そのために自分を犠牲にしようとしている智紀をタツキは止めずにいられなかった。

 自殺を止める有効な手段はほぼ存在しない。ましてや「死ぬな」という言葉は、生きていることが苦痛で仕方ない人間の前ではあまりに無力だ。タツキは智紀に生きていてほしいという気持ちを行動で示した。人生はゲームのように一からやり直すことはできないが、過去の出来事を踏まえて新たに生き直すことはできる。息子・蒼空(山岸想)の心を自らの手で壊してしまったタツキ。その消えぬ後悔が、彼を飛び降りようとした智紀の元へ走らせる。タツキは智紀を助けた拍子に転落し、命は助かったものの、腕に大怪我を負ってしまった。さらに、その日は元妻の優(比嘉愛未)と久しぶりに会う予定だったのだ。意図せず約束を破ってしまったことで、家族との仲がさらにこじれないか心配である。

 一方、前回からしずくの後をつけていたのは元教え子たちであることが判明。ゲーム上で智紀と繋がっていた彼らから、しずくは助けを求められる。そのことからも彼女は生徒にある程度慕われていたようだが、なぜ自ら学校を去ったのか。次週はしずくの過去も明らかになりそうだ。

■放送情報
『タツキ先生は甘すぎる!』
日本テレビ系にて、毎週土曜21:00〜放送
出演:町田啓太、松本穂香、藤本美貴、寺田心、三遊亭好楽、比嘉愛未、江口洋介
脚本:徳尾浩司
演出:鈴木勇馬
音楽:得田真裕
主題歌:福山雅治「拍手喝采」(アミューズ/Polydor Records)
プロデューサー:岩崎秀紀、秋元孝之、大護彰子
チーフプロデューサー:荻野哲弘
制作協力:オフィスクレッシェンド
製作著作:日本テレビ
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/tatsuki/
公式X(旧Twitter):https://x.com/tatsuki_ntv

関連記事