出口夏希、なぜ脇役でも目を奪う? 『サバ缶、宇宙へ行く』で証明した“主役の器”
若くして作品の看板を背負うことのできる俳優は、じつはそう多くないのではないか。フレッシュな才能が主演を務める作品に触れるたび、しばしばそんなことを思う。しかし同時に、“主役の器”の持ち主というのが確実に存在しているのも事実だ。そんな人物として、あなたは誰を思い浮かべるだろうか。いま筆者がここで名を挙げたいのは、ドラマ『サバ缶、宇宙へ行く』(フジテレビ系/以下、『サバ缶』)に出演中の出口夏希だ。これは彼女の主演作ではないが、出口は間違いなく、“主役の器”の持ち主である。
放送中の『サバ缶』は、新米高校教師とその生徒たちが手を取り合い、“宇宙食開発”という壮大な夢に挑戦するさまを描くもの。北村匠海が主人公の教師・朝野峻一を演じ、出口はその生徒役のひとりに配されている。演じているのは菅原奈未というキャラクター。このクラスのリーダー的な存在だ。
奈未は快活な性格の人物で、とても目立つ。“宇宙食開発”に奮闘するこのクラスのことを思い出そうとしたとき、私たちの脳裏には奈未の姿が浮かぶだろう。彼女は派手な言動を繰り広げたり、あからさまに多くの出番が用意されているわけではない。もちろん、“リーダー的存在”とあって、ほかの登場人物たちと比べて多少はセリフが多いかもしれない。しかしセリフが多いからといって、視聴者の脳裏に浮かぶというのは余程のこと。まだドラマがはじまってから2エピソードしか放送されておらず、強く印象に残るような名ゼリフを口にしているわけでもない。
ではここで何が起きているのかというと、奈未はこのクラスのムードを生み出しているのだ。彼女が発する言葉や一挙一動が、クラスのムードを決定づけている。しかし先述した内容からお分かりいただけるように、ほかの生徒たちの意思に影響を与えるような強い言葉を口にしているわけではない。あくまでも、彼女がつくっているのはムードなのだから。