三浦貴大が『風、薫る』に与えるアクセント 『国宝』に通じる“現実を突きつける”存在に?

 連続テレビ小説『風、薫る』(NHK総合)がはじまったが、早くも波乱の展開が続いている。一ノ瀬りん(見上愛)は一家の大黒柱を失い、教会の牧師に育てられた大家直美(上坂樹里)は仕事に就くことさえままならない。そんな物語の流れに大きな影響を与える存在になりそうなのが、奥田亀吉というキャラクター。演じるのは三浦貴大である。

 本作は、明治という激動の時代を舞台に、ふたりの“トレインドナース(=正規に訓練された看護師)”の活躍を描くもの。りんと直美はこれから看護師の卵となり、医師や患者たちとの関わりの中で、やがて“最強のバディ”になっていく。物語がはじまったばかりのいま描いているのは、ふたりが出会いを果たすまでの、それぞれの人生である。

『風、薫る』写真提供=NHK

 この物語に奥田亀吉がどのように関わってくるのか。彼はこれからりんが嫁ぐ相手だ。明治になってから運送業をはじめ、一代で財を成したのだというから、かなりのやり手だ。しかし、番組公式サイトの人物紹介欄に“老舗の店主たちからは冷ややかな目で見られている”と記されているのが気になる。この“冷ややかな目”とは、成功者である亀吉へのやっかみからくるものなのか。それとも、亀吉への人間性に向けられるものなのか。りんとの夫婦関係においても大きなトラブルが起きるというのだから、おそらく後者なのだろう。

 この後の展開で楽しみなのが、三浦がどのようなキャラクターを立ち上げ、『風、薫る』の世界に刺激を与えるのかということ。本作はまだはじまったばかりとあって、“キーパーソン”を担う者には繊細さが求められるはずだ。個性の大きな役どころであればあるほど、それが作品のイメージにも大きく影響してくる。いや、はじまったばかりだからこそ、ここは大胆に攻めるべきだろうか。ともあれ、このポジションを担うのが三浦だというのが頼もしい。

 俳優・三浦貴大の魅力は、作品への適応力の高さにある。『キングダム』シリーズのような大型のエンターテインメント作品のみならず、実話を基にした『Winny』(2023年)などの社会派作品や、広島の大自然を舞台に等身大の青年に扮した『やがて海になる』(2025年)といった作品まで、柔軟に溶け込み、各作品の成立に貢献してきた。彼ならば現在の『風、薫る』の流れの中にあっても、繊細にも大胆にも振る舞うことができるのかもしれない。

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