『パンチドランク・ウーマン』予想を裏切る波乱の結末に 篠原涼子が体現した魔性ぶり
ドラマ『パンチドランク・ウーマン −脱獄まであと××日−』(日本テレビ系)の最終話は、登場人物たちの決断に衝撃と困惑が渦巻くなか、事前の予想を裏切る波乱の結末を迎えた。
前回、こずえ(篠原涼子)と怜治(ジェシー)が脱獄する間際に、行く手を阻んだのは佐伯(藤木直人)だった。しかし、婚約者でもある佐伯を前にしても、こずえは怜治を庇いながら「彼といたい」と宣言する。呆然とした表情を浮かべる佐伯は目の前の光景を受け入れられないまま、逃走する脱獄犯たちを見送ることしかできなかった。
刑務官としてのキャリアと平穏な日常。そして、自分を心から愛してくれる人を置き去りにしてもなお、こずえは怜治とともに生きていくことを選んだ。だが、脱獄が成功しても2人が歩むのは茨の道。幸せな生活を送るためには、これから立ちはだかる多くの関門を突破しなければならなかった。
前代未聞の脱獄劇に氷川拘置所内が騒然とするなか、刑務官であるはずのこずえにも疑惑の目が向けられる。知念(柏木悠)と加世子(中島ひろ子)は彼女を庇おうとするが、区長は人質に取られたという2人の意見に意を唱えたのが、こずえに失脚させられた元所長代理の小柳(宇梶剛士)だ。最後の最後まで悪役として立ち振る舞う姿は、もはや清々しいまであった。
さらに、ともに脱獄した沼田(久保田悠来)も不穏な動きを見せる。教団の隠れ家にやってきたのも束の間、怜治が妹の寿々(梶原叶渚)を助けるためにその場を離れるなか、沼田は教団の海外ルートを知ったこずえと怜治を始末しようと画策していた。
隠れ家に残ったこずえと沼田は、お互いの腹の内を探り合うようにして言葉を交わす。このシーンの相手を惑わすようなこずえの瞳は、刑務官として実直に働いていた頃とはまるで別人のような艶やかさを宿していた。抑制していた思いが溶け出すような篠原涼子の表情の変化が、豹変したこずえの魔性ぶりを際立たせる。拳銃を向けた沼田を返り討ちにして、得意の柔道で首を締めあげて命を奪ったその表情には、ひとつの後悔も滲んでいなかった。
こずえがさらなる罪を重ねる一方で、怜治は日下家の別荘に閉じ込められていた寿々の救出に成功したものの、もはや因縁の関係でもある佐伯が目の前に立ち塞がる。彼はすでに寿々の居場所を調べ上げていたのだ。しかし、決死の思いで佐伯に飛びかかった寿々の助けもあり、怜治はこずえとの逃避行を再開する。佐伯も怜治を殺すつもりで発砲しており、警察官としての役割を大きく逸脱しているのは間違いない。それでも、こずえが怜治のために罪を重ねようとすればするほど、佐伯の怜治に対する憎しみは増していくのだからどうしようもない。
歪な三角関係の成れの果ては、想像を絶するような結末だった。こずえと怜治は逃走の末に身を隠した古びた教会で愛を誓い合う。ところが、怜治はすでに佐伯へと一報を入れていた。彼らが協力する目的はただひとつで、こずえを幸せにすること。怜治はこずえを脱獄の共犯者から、脱獄犯に脅された被害者へと仕立て上げるために、わざと警察側に実行犯である姿を目撃させる。佐伯が言い放った「お前はこずえを幸せにはできない」というセリフの返答として、怜治は自らが責任を取って撃たれる覚悟を決めたのだ。
しかし、こずえはそんな2人の想定を上回るような行動に打って出る。佐伯が引き金を引く前に、怜治の持っていた銃を取り上げて、自らの手で彼を捕まえる。「あなたはどこへも行かせません」「必ずあなたを守るから」と呟くこずえ。怜治に対する異常なまでの執着は、一時的な気の迷いなどではなく、陶酔するような愛に他ならなかった。
タイトルにある「パンチドランク」とは、ボクシングで多数のパンチを受け、直進歩行ができない状態に陥るスポーツ障害のひとつ。まさに本作の主要な登場人物たちは、これまで信じていた規範を崩壊させるような衝撃を与えられたことによって、正常な判断ができない状態に陥った。ただ本能のままに、欲望を追い求めるようになった。
こずえは最終的に怜治の逃走を防いだ刑務官として、職場に華々しく復帰した。人生の“生きがい”を見つけた彼女は、白岩刑務所へと移送されることになった怜治のあとを追うように異動を希望する。狂気を宿した彼女の瞳が映し出されたラストシーンは、まるでHuluで再始動するSeason2を観続ける覚悟があるのかどうか、視聴者に問うている気がしてならなかった。
ベテラン刑務官こずえは、強盗殺人犯の怜治と出会い人生を狂わせる。冷静沈着な彼女の秘密に深く関わる怜治との出会いが、運命を大きく変えていく。
■配信情報
『パンチドランク・ウーマン −脱獄まであと××日−』
TVer、Huluにて配信中
出演:篠原涼子、ジェシー、藤木直人、小関裕太、知英、高橋努、尾碕真花、柏木悠(超特急)、沢村玲(ONE N' ONLY)、新納慎也、河内大和、中島ひろ子、久保田悠来、小久保寿人、団長安田(安田大サーカス)、カルマ、高岸宏行(ティモンディ)、星乃夢奈、ベンガル 、宇梶剛士、大澄賢也、竹財輝之助、梶原叶渚、遠山俊也、柾木玲弥、越村友一、山下容莉枝、山田明郷
脚本:いずみ吉紘
演出:中茎強、南雲聖一、菅原伸太郎、茂山佳則
チーフプロデューサー:荻野哲弘
プロデューサー:鈴木亜希乃、福井芽衣
音楽:中島ノブユキ
制作協力:AX-ON
©日本テレビ
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