『リブート』に視聴者が惹きつけられる理由とは? 急展開と“日曜劇場らしさ”の両立
冬クールのドラマが終盤に入ったなかで、第8話を終えて大きな盛り上がりを見せているのが、日曜劇場(TBS系日曜21時枠)で放送されている『リブート』だ。
妻の夏海(山口紗弥加)を殺害した容疑をかけられ、警察に追われることになったパティシエの早瀬陸(松山ケンイチ)。彼は、夏海と同じ会社・ゴーシックスコーポレーションで同じ仕事をしていたという公認会計士の幸後一香(戸田恵梨香)から、早瀬を助けようとして殺された捜査一課の刑事・儀堂歩(鈴木亮平)と妻を殺害した真犯人を探すため、儀堂として新しい人生を歩むリブート(再起動)を提案される。
整形手術で顔を変え、身体を鍛えて拳銃の扱いも含めた格闘技術を身に付け、警察としての知識、筆跡等の儀堂の癖や口調を身に付けた早瀬は、半年後に儀堂として生まれ変わる。
そして儀堂が潜入捜査をしていた裏社会の金融機関(ダークバンク)を牛耳るゴーシックスコーポレーション代表の合六亘(北村有起哉)のもとに一香と共に向かうのだが、合六は儀堂が10億円を横領したと疑っており、潔白を証明したければ、本当の犯人を24時間以内に連れてこいと早瀬を脅迫する。
物語前半は組織の金を強奪した犯人の行方をめぐる攻防となっている。
犯人と金の行方をめぐって物語は二転三転する。リブートした早瀬を筆頭に、登場人物の多くが正体を隠して行動しているため、誰が敵で誰が味方かわからない緊迫感が続き、物語から目が離せない。
極限状態におかれた主人公が騙し合いの渦中に放り込まれることによって生まれる緊迫感の続くサスペンスは、脚本家の黒岩勉がもっとも得意とする作劇手法だ。
本作と同じ鈴木亮平が主演を務めた『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(TBS系)や福山雅治が主演を務めた『ラストマンー全盲の捜査官ー』(TBS系)などの脚本を手掛け、近年の日曜劇場には欠かせない存在となっている黒岩。今回の『リブート』は、黒岩が得意とする制限時間の中で最善の選択を選ぼうと頭を悩ませる主人公の姿を描いたリアルタイムサスペンスをより洗練させたものとなっており、考察系ミステリーとしてもSNSでは盛り上がっている。
だが、『リブート』が本当に凄いのは、視聴者の期待に応えた上で、予想の先を行くストーリーを描いていることだ。
まず、最初に驚いたのが、死んだはずの(本物の)儀堂が実は生きていたことが、第3話終盤で明らかとなったこと。
第4話で描かれた本物の儀堂が再登場する場面も実に見事で、街で出会って一香の仕事に同行していた早瀬が、実は本物の儀堂だったことが判明して一香が襲われるという大胆な演出となっていた。
これは偽物の儀堂(早瀬)も本物の儀堂も同じ鈴木亮平が演じているからこそ可能なトリックで、リブートという設定がある以上、いつかは展開されるアイデアだとは思っていたが、想像よりも速い登場だったこともあり、見事に騙されてしまった。