小栗旬はなぜ世界に通用する? 『ゴジラvsコング』『匿名の恋人たち』などを経て新境地へ

 ビッグニュースが飛び込んできた。俳優の小栗旬が三池崇史監督とタッグを組み、これから世界の舞台に乗り出していこうというのだ。

 タイトルは『バッド・ルーテナント:トウキョウ』であり、アベル・フェラーラ監督の『バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト』(1992年)を下敷きにしたもの。ダークでハードな物語が繰り広げられると、ここから想像できるだろう。ハリウッドとの共同製作のもと、小栗はリリー・ジェームズとダブル主演を務める。2021年公開の『ゴジラvsコング』に続き、2度目の世界への挑戦だ。

 小栗と三池監督といえば、これまでもたびたびタッグを組んできた。小栗が主演の『クローズZERO』(2007年)は彼らの代表作のひとつであり、“ヤンキー映画”という一大ジャンルにおいて、いまだ不動の地位に君臨し続けている。あれから約20年──。小栗が再び三池組で座長を務め、世界に勝負を仕掛けていこうというのだ。胸が熱くならないわけがない。

Netflixシリーズ『匿名の恋人たち』

 先述しているように、小栗がハリウッドに挑戦するのはこれが2度目のこと。とはいえ彼は、日韓共同制作のドラマシリーズ『匿名の恋人たち』(2025年/Netflix)でも世界のエンターテインメントシーンに乗り出しているし、この2026年にはさらに、片山慎三監督との初タッグ作『ガス人間』(Netflix)が世界に向けて解き放たれることとなる。後者はまだ観られていないが、前者を観て改めて感じたことがある。それは、「小栗はいつもの小栗だった」ということだ。

 これはもちろん、“小栗旬は何を演じても小栗旬である”という意味ではない。世界水準のフィールドでも、小栗旬は小栗旬。『ゴジラvsコング』のときもまた然りで、出番の多寡に関わらず、安定した演技者の姿がそこにはあった。闘うフィールドが変わったからといって、あからさまな“演技体”の変化が見られるわけではない。彼自身はつねにフラットでいる印象がある。言い換えればこれは、“小栗旬は普段から世界水準の演技を実践している”といえるのではないだろうか。日本国内のオーディエンスに向けた作品でも、いつだって世界の人々を意識しているのだと。

『豊臣兄弟!』写真提供=NHK

 小栗は現在、大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合)で織田信長役を好演中だ。豊臣秀吉と秀長の兄弟が成り上がっていくさまを描く作品だが、本作のスケールを大きなものにしているのは、小栗の力演なのではないかと感じている。ちょっとしたセリフひとつ、ふとした視線の動きで、彼は登場人物たちのみならず、私たち視聴者までも圧倒してみせる。そのたびに作品のスケールはより大きくなり、世界観の強度は増していく。本作ならではの織田信長像を立ち上げようとしているのはもちろんだが、演じ手としての小栗の意識が日本のエンタメ市場に留まっていないからだと思う。

『フロントライン』© 2025「フロントライン」製作委員会

 近年のほかの作品でいえば、ドラマならば『日本沈没ー希望のひとー』(2021年/TBS系)、映画ならば『フロントライン』(2025年)での演技が好例だ。いずれも未曾有の事態に巻き込まれた者たちの中心に立つ役どころ。作品が描くもののスケールがそもそも大きいのだが、両作ともに主演俳優=座長である小栗の演技がピタリとハマっていた。あれらのポジションを担うことができる者として、ほかに誰が思い浮かぶだろうか。

 さて、最後に『バッド・ルーテナント:トウキョウ』の話に戻そう。本作で小栗は、まるでこの世の業をすべて請け負うかのように、自暴自棄な生活を送る警部補・矢吹恭二を演じる。三池監督はいくつものダークでハードな名作を生み出してきた名匠とあって、彼らがどのようなレベルの闇の世界を立ち上げてみせるのか、いまから気になって仕方がない。そして、主演俳優である小栗旬の世界水準の演技に、私たちは真の意味で出会うことになるのだろう。

参照
https://realsound.jp/movie/2026/03/post-2334815.html

■公開情報
『バッド・ルーテナント:トウキョウ』
2026年全国公開
出演:小栗旬、リリー・ジェームズ、間宮祥太朗、リヴ・モーガン、野村周平、西野七瀬、向里祐香、岩田剛典、渡邊圭祐、中野英雄、村上淳、國村隼、舘ひろし(特別出演)
監督:三池崇史
脚本:天願大介
製作:ジェレミー・トーマス、サム・プレスマン、北島直明、坂美佐子
製作幹事:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
制作プロダクション:OLM
配給:(日本)ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント、(北米)NEON
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