第98回アカデミー賞主要部門を大予想 注目の作品賞は“自分たちで開く最高の送別会”に

主演男優賞

★ティモシー・シャラメ『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』
レオナルド・ディカプリオ『ワン・バトル・アフター・アナザー』
イーサン・ホーク『ブルームーン』
●マイケル・B・ジョーダン『罪人たち』
▲ワグネル・モウラ『シークレット・エージェント』

『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』©2025 ITTF Rights LLC. All Rights Reserved.

 今年の最難関部門。今の追い上げだと完全にマイケル・B・ジョーダンに勝機が来ているが、ここはあえてティモシーに賭けたい。3月5日の投票締め切りを合図に、2月に配信していた自社企画トークショーの切り抜き映像で炎上を煽った業界誌はこの愚行で何を得るのか。1時間のトークショーを見れば、彼がどんな文脈であの発言をしたのかすぐにわかる。同じ映像内でこうも言っている。「このSNS時代では批判を浴びやすく、“恐れ”が行動原理になってしまっている。哀れな自己啓発野郎に聞こえると嫌だけど、そういうのも時には必要だと思う。僕は恐怖心で行動を制限するのは嫌だ。自信と喜びをもって行動したい。今この立場にいられることの喜びを胸に!」。まさに、マーティ・マウザーが憑依した発言ではないか。

主演女優賞

★ジェシー・バックリー『ハムネット』
ローズ・バーン『If I Had Legs I’d Kick You(原題)』
ケイト・ハドソン『ソング・サング・ブルー』
レナーテ・レインスヴェ『センチメンタル・バリュー』
エマ・ストーン『ブゴニア』

『ハムネット』©2025 FOCUS FEATURES LLC.

 この長いアワードキャンペーンマラソンを、常にトップランナーで走り切ったジェシー・バックリーに拍手を。最新主演作『ザ・ブライド!』が投票終了後の公開で助かったね、の声も。

助演男優賞

●ベニチオ・デル・トロ『ワン・バトル・アフター・アナザー』
ジェイコブ・エロルディ『フランケンシュタイン』
●デルロイ・リンドー『罪人たち』
★ショーン・ペン『ワン・バトル・アフター・アナザー』
★ステラン・スカルスガルド『センチメンタル・バリュー』

『センチメンタル・バリュー』©2025 MER FILM / EYE EYE PICTURES / LUMEN / MK PRODUCTIONS / ZENTROPA ENTERTAINMENTS5 APS / ZENTROPA SWEDEN AB / KOMPLIZEN FILM / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / ARTE FRANCE CINÉMA / FILM I VÄST / OSLO FILM FUND / MEDIEFONDET ZEFYR / ZDF / ARTE

 エロルディ以外、誰が獲ってもおかしくない。問題は、キャンペーンにもほとんど参加していなかったショーン・ペンが授賞式会場に来るかどうか。ヨーロッパ票はスカルスガルドに行くだろうから、『ワンバト』勢の票が分かれるとグスタヴに。

助演女優賞

エル・ファニング『センチメンタル・バリュー』
インガ・イブスドッテル・リッレオース『センチメンタル・バリュー』
●エイミー・マディガン『WEAPONS/ウェポンズ』
★ウンミ・モサク『罪人たち』
●テヤナ・テイラー『ワン・バトル・アフター・アナザー』

『罪人たち』©2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

 今年はどちらも助演が混戦。それも「箱推し」の因果と言える。従来のオスカーならばエイミー・マディガンかテヤナ・テイラー、でも今年はウンミ・モサクが獲るような気がする。

脚色賞

ウィル・トレイシー『ブゴニア』
ギレルモ・デル・トロ『フランケンシュタイン』
クロエ・ジャオ、マギー・オファーレル『ハムネット』
★ポール・トーマス・アンダーソン『ワン・バトル・アフター・アナザー』
クリント・ベントリーグレッグ・クウェダー『トレイン・ドリームズ』

 脚色賞も難なくPTAに行くでしょう。『ハムネット』製作で会場入りするスピルバーグに感謝を述べるスピーチはどちらの賞か?

脚本賞

ロバート・キャプロウ『ブルームーン』
ジャファル・パナヒ、ナデル・サイヴァル、シャドメール・ラスティン、メーディ・マームディアン『シンプル・アクシデント/偶然』
ロナルド・ブロンスタイン、ジョシュ・サフディ『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』
エスキル・フォクト、ヨアキム・トリアー『センチメンタル・バリュー』
★ライアン・クーグラー『罪人たち』

 最多16部門ノミネートの『罪人たち』が当確を得ているのはこの部門のみ。25年後に製作のワーナー・ブラザースからライアン・クーグラーに映画の権利が戻る契約を取り付けたことも、この不安定な映画業界で働く人たちの心を動かしたことだろう。

国際長編映画賞

●『シークレット・エージェント』(ブラジル)
『シンプル・アクシデント/偶然』(フランス)
★『センチメンタル・バリュー』(ノルウェー)
『シラート』(スペイン)
『ヒンド・ラジャブの声』(チュニジア)

『センチメンタル・バリュー』©2025 MER FILM / EYE EYE PICTURES / LUMEN / MK PRODUCTIONS / ZENTROPA ENTERTAINMENTS5 APS / ZENTROPA SWEDEN AB / KOMPLIZEN FILM / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / ARTE FRANCE CINÉMA / FILM I VÄST / OSLO FILM FUND / MEDIEFONDET ZEFYR / ZDF / ARTE

 毎年、ノミネートにたどり着くまでが熾烈で有名な国際長編映画賞。「箱推し」映画の代表格『センチメンタル・バリュー』が受賞すると予想。本来ならばパルムドール級の大傑作で、カンヌは審査委員長が全権を持つ映画祭ゆえの結果だった。ワグネル“ナルコス”モウラ人気と、昨年から続くブラジルの熱気で、『シークレット・エージェント』は対抗として大健闘。『ヒンド・ラジャブの声』にはブラッド・ピット、ホアキン・フェニックス、アルフォンソ・キュアロンらそうそうたる顔ぶれが製作総指揮に名を連ねている。だが、ほぼキャンペーンは行っていない。

キャスティング賞

●『ハムネット』
『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』
『ワン・バトル・アフター・アナザー』
『シークレット・エージェント』
★『罪人たち』

 今年新設のキャスティング賞。記念すべき第1回はキャスティング界の大御所、ニナ・ゴールドが受賞と見られていたが、『罪人たち』の箱推し勢力がアクターズ・アワードのアンサンブル・キャスト賞にまで到達。作品賞よりこちらの方が「らしい」と言える賞。キャスティング賞とは何を評価するのかがいまだによくわからないが、俳優賞では投票しなかったが推したい作品の救済措置という気がする。つまり「俳優箱推し賞」。

長編アニメーション賞

『ARCO/アルコ』
『星つなぎのエリオ』
★『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』
『アメリと雨の物語』
『ズートピア2』

『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』Netflixにて配信中

 全部門を通して最も固いのは、『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』の長編アニメーション賞と歌曲賞の受賞。アメリカではそれくらい大旋風を巻き起こしていた。Netflixは悲願のアニメーション賞受賞となる。

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