興収で読む北米映画トレンド

『私がビーバーになる時』ピクサー約10年ぶりの大ヒット 日本でも“わたビバ”旋風なるか?

 ディズニー&ピクサーにとって、およそ10年ぶりの快挙だ。映画『私がビーバーになる時』が、3月6日~8日の北米週末映画ランキングでNo.1を獲得。週末興行収入は北米で4600万ドル、ピクサーのオリジナル作品(フランチャイズ作品を除く)では『リメンバー・ミー』(2017年)以来最高のオープニングとなった。

 海外88市場では4200万ドルを記録し、全世界興行収入は8800万ドル。同じくピクサーのオリジナル作品としては『リメンバー・ミー』ぶりの好記録で、『2分の1の魔法』(2020年)や『マイ・エレメント』(2023年)を上回った。

 本作では動物好きの少女メイベルが、最新技術を駆使して自分の意識をロボットのビーバーに転送し、思い出の土地を守るため、動物たちと力を合わせようと奔走。ビーバーのキング・ジョージたちと友情を築きながら、地元市長が画策する道路建設計画に立ち向かう……。

『私がビーバーになる時』©︎2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

 “しゃべる動物もの”から始まり、ナンセンスなまでに荒唐無稽な展開へ突っ走り、最後にはほろりとさせる。ピクサーの王道と尖った作家性をコメディ映画として融合させたのは、『ぼくらベアベアーズ』の気鋭監督ダニエル・チョン。Rotten Tomatoesでは批評家スコア・観客スコアともに94%を獲得。映画館の出口調査に基づくCinemaScoreでは「A」と高評価を獲得した。

 2020年の新型コロナウイルス禍よりも以前、ピクサーはオリジナル作品を成功に導くスタジオであり、『トイ・ストーリー』や『モンスターズ・インク』『インサイド・ヘッド』などの人気フランチャイズも、当然ながら最初はオリジナル作品としてスタートしていた。

 ところがコロナ禍では、ディズニープラスを強化する配信戦略(『ソウルフル・ワールド』や『私ときどきレッサーパンダ』などが劇場公開から配信リリースに切り替えられた)が裏目に出たほか、観客が続編やフランチャイズ作品を好む傾向が強まった。近年は劇場興行に苦戦しており、『マイ・エレメント』は最終的に数字を伸ばしたが、『星つなぎのエリオ』(2025年)は製作費をわずかに上回る興行成績にとどまっている。

『私がビーバーになる時』©︎2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

 製作費は1億5000万ドル。『私がビーバーになる時』は「ピクサー復活」を謳いあげたくなる滑り出しだが、最終的に成績をどこまで伸ばせるかがポイントだ。ちなみに、『リメンバー・ミー』は北米興収2億1046万ドル、世界興収8億2328万ドル。当時とは映画界の状況が変わっているものの、この数字に肉薄できるかがひとつの基準といえそうだ。

 日本公開は3月13日。通称「わたビバ」旋風はここ日本でも巻き起こるか? そして、ピクサーによる新たなフランチャイズのスタートとなりうるか。

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