『ばけばけ』ヘブンのスランプと司之介の怪しい商談 熊本の新生活に“暗雲”が立ち込める

 『ばけばけ』(NHK総合)第97話では、熊本へ移った松野家の日常が描かれた。

 熊本へ移住したトキ(髙石あかり)とヘブン(トミー・バストウ)。司之介(岡部たかし)とフミ(池脇千鶴)をともない、錦織(吉沢亮)の弟の丈(杉田雷麟)と正木(日高由起刀)も下宿し、にぎやかな同居生活が始まった。人力車を引く車夫の永見(大西信満)も、引き続きヘブンの送迎を担当する。

 熊本編で異彩を放っているのが、女中のクマ(夏目透羽)。第96話のレンコン事件でクマのキャラクター性は伝わってきたが、第97話でもクマはインパクト十分だった。明け方早く目を覚まし、庭で手まり歌を試そうとするトキの動きを察知したり、アイロンの位置を変えたフミを叱りつけるなど、すでに家の中を仕切っている。

 女中を雇うのはヘブンの意向で、クマに身寄りがないことも決め手になったかもしれない。好待遇にこたえようとクマは一生懸命やっているが、かえって松野家の人々を居心地悪くさせていることには気づいていない。一方で、手まりが下手だったりとポンコツな一面もあって憎めない存在である。

 いきなり手持ち無沙汰になってしまった松野家の中で、いちばんヒマになったのは司之介かもしれない。なにせ庭の草むしりでむしる草がなくなって、最後に残ったネコジャラシを温存するくらいなのだから。「小人閑居して不善をなす」は言い過ぎかもしれないけど、やっぱりというか、良からぬことをたくらむのも司之介である。

 家の金を持ち出して司之介が会った相手は荒金九州男(夙川アトム)。「あんたの馬刺しば見せてもらおうかね」と耳慣れない言葉を使う荒金は商売人で、熊本のからしと蓮根を仕切っているらしい。値上がりする小豆相場に投資して、ひと儲けする魂胆だ。絶対嘘だとわかるプロフィールを簡単に信用してしまう司之介。だいじょうぶなのか……。

 既視感のある場面だと思っていたら、そういえば、十数年前にも同じようなことがあった。トキが子どもの頃で、そのときはうさぎの転売だった。相手は金成初右衛門(田中穂先)である。銭太郎(前原瑞樹)もそうだが、金が名前に入っているキャラクターがわかりやすく登場するのは今作ならではだ。

 慣れない環境で戸惑う家族に対して、ヘブンも別の意味で悩みの渦中にあった。何を執筆しているかトキに尋ねられて「ヒミツ」と答え、しゃべると話が逃げると言って遮るヘブンはスランプに陥っていた。同僚教師との会話で、熊本に日本らしいものがないと嘆いていたヘブン。なにかきっかけになるようなものがあるといいのだけれど。

■放送情報
2025年度後期 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:髙石あかり、トミー・バストウ、吉沢亮、岡部たかし、池脇千鶴、小日向文世、寛一郎、円井わん、さとうほなみ、佐野史郎、北川景子、シャーロット・ケイト・フォックス
作:ふじきみつ彦
音楽:牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史
写真提供=NHK

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